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弥勒過去編(瑛二&白銀)
お腹 3
しおりを挟む「・・・き、気持ち悪いとか、じゃなくて。
お前、妊娠した、とかじゃねーの??」
「妊娠??」
瑛二、顔色悪い。
折角、半勃ちだったのに、そこも柔らかく戻ってしまった・・・
もっといっぱい食べさせてもらいたかったのに。
「お前、少しは驚けよ。
鬼の花嫁にされかけたって自分で言ってたろ?」
「言ったけど、鬼落ちしたし・・・もうその役目からは開放されたんだと思っていたよ。
妊娠って、全然考えなかった」
正直、妊娠なんて今の僕にはどうでもいいんだけど、そこまで言ったら怒られそうだから言わない。
そう、別に、妊娠でも、太っていてもどうでもいい。
この今の身体を、瑛二に気持ち悪く思われないか、もう抱いてもらえないんじゃないか。
それが僕には重大問題。
それ以外は、どうでもいい。
「もし妊娠なら、無理やりでも中のものを出せばへこむのかな?
太ってるだけだと、どこを削っていいのか分からなくて困ってたし」
「・・・白銀。
お前の考えの基準はわかんねーけど、止めてくれ」
瑛二は自分の衣服を整えると、その場に胡座をかいてしばらく僕のお腹を見たまま黙り込んでしまった。
こんなときの瑛二は、何を考えているのか今でも分からない。
何かを手繰り寄せているようで、紐解いているようで。
遠くに感じる。
「・・・白銀、自分の胎内の音、聞けるか?」
「試してみるよ」
お腹に手を当て、聴覚を集中する。
周囲に耳を傾けることはあっても、自分へ集中するのは初めて。
聞こえてくるのは。
自分の鼓動と重なる。
トクトクと、小さいけれど定期的なもうひとつの心音。
身体の中を動く水音。
妊娠、してることは間違いないみたいだった。
「心臓の音と、動いている音が聞こえてくる。
多分、子どもじゃないかな・・・瑛二は、すごいね。
全然気付か・・・」
瑛二の顔が近づき、コツンとお互いの額が合わさる。
至近距離過ぎて、その表情がよく見えない。
「すっげーっ!」
グリグリと額に力を込められて。
瑛二が嬉しがっているのが伝わってきて。
僕も瑛二につられて笑う。
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