嘘も重ねりゃ♡恋♡になる

寅次3

男は眉間を摘みながら呻く。
鷹美は真一文字に口を結んで無言だ。


「あーっ、名前なんだっけ」
「王将、です」
「おい、王将。
お前、本気で言ってんのか？
この鷹美より、寅次の方が可愛いと？」
「勿論(付き纏いもねぇし、妄想手紙も書かねぇし)」
「好きだと？」
「好きです(仲良く遊んでたし)」


この場を斬り抜ける手段として即答する王将。
振り向いた寅次の顔が真っ赤に染まっていたことに、多少の罪悪感はチリチリ感じたが。
自分の身の安全第一だ。


「くぅ、どうする、鷹美」
「そ、そんなの、譲るしかないじゃないっ」


いや、お前のものになった覚えがねぇよ。
王将のツッコミは心の中に留めて置いた。
我が身が可愛い。
結果、鷹美から寅次に譲られる形となった王将は即日両想いカップルとして村公認になっていた。

田舎って怖えぇええぇぇぇっ