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37 牙 side 渡

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この本気が陸に伝わるように、気持ちをめぇいっぱい瞳に込めて見返す。
どれくらい、見合ってたんやろう。
ちょっと間のようで、とっても長くも感じて。
険しい陸の目の中に自分を見つけてしまうと、表情が強張って、不安が膨らんで、気持ちが揺らいでしまいそうになる。

でも、目は片時も陸から逸らさへんかった。
これが、冗談とか思われたら困るから。
そうしたら、それまで指の一本さえ微塵も動かへんかった陸の口が大きく開いて。


「あ」

「あ?」


何を言われるんやろうとドキドキしてたけど、あ、ってなんなん?
あ、ってなんの始まりなん?
もしかせんでも、あかん、の、あ?
嫌な言葉を一番最初に思いついたら、まだ言われる前やのに「あかん」で頭ン中がいっぱいになってまう。
陸に拒まれるかもしれへんと思っただけで、心が折れそうやけどそれこそあかんっ

た、確かに、陽太さんにも言われててん。
発情期じゃない、しかもそういうプロでもないΩ男子を相手にするのってαにとっては負担やでって。
αは選べる立場にいるから、拒否られる可能性も考えとけよって。
女の子と違って、その、専用の穴やないからな。
入口拡げるのにも、その先を柔らかくすんのにも時間がかかるし、あと、俺みたいな未経験者の身体はどこもかしこも狭いから挿れられる方も、挿れる方も痛みは伴うって。

確かに小説でも、発情期のときとそうでないときとは描写もちごてた。
そのへんは、練習しながらシュミレーションめっちゃしたし、俺の方は耐えれるって言うか陸との初めてを覚えとくためなら寧ろその痛みごと覚えてたいねん。

けど、突然言われた陸はちゃうやんな。
陽太さん、風俗通いもして無いだろう高校生なら、いくら俺が練習したところで上手くいく保証は無いぞって何度も何度も言ってたし。
ケガすると思ったら、全力でソコを蹴飛ばすか握り潰せとまで言われた。
遥馬さんには、驚かれたあとにめっちゃ心配されたし。
かなちゃんには、なんでそこまでお前がする必要があるんだって怒られたし。
みこちゃんだけやな。
この『計画』を話しても、俺がしたいことをちゃんと伝えられて望みが叶うように毎日お祈りしてるねって背中押してくれたん。

陽太さんに、なんとかエラのいっちばん張ってるとこが入ってしまえば、あとはなんとか進むやろうって身振り手振りでアドバイスして貰ってたからな。
俺なりにほんまに頑張っててん。
指一本でも拒否感ガチガチやったとこが、浅くても拡がるように指を増やしてマッサージして。
その成果やろうな。
昨日、陸の指が入ってきても痛く無かった。
寧ろ、自分やない陸の指の感触にゾクゾクしてしもてたし・・・ヒクンッ
追憶につられて、勝手に入口が痙攣してくる。
しかも、今日はお腹ん中までじんわり熱くなってきた。
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