ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
881 / 911
37 牙 side 渡

15

しおりを挟む
陸は、「そうきたか・・・」ってボソッと呟いて天井を見上げて長ーい溜息。
あれ?
俺の予想、外れてた?


「練習やなかったん?
俺、自分が練習してたから、てっきりそうなんかなぁって。
でも、練習やなかったらなんで噛んだん?」

「・・・番にしたくて堪らなくなって、我慢が効かなかったんだ」


見上げた陸から、流し目で苦笑いされて。
クイッと上がった上唇から、牙が覗いて。
掠れたそんな色っぽい声で耳の近くで呟かれてしもたらっ
はにゃーんっっどころか、にょおおおーーーんっ
変な絶叫しそうになるって、もう口が出てたわ。


「うぇぇぇぇえーーーっ
そんなん言われたら、俺の方が堪らへんやぁんっ」


爪の先まで真っ赤に染まってそうなくらい、ドカンと一気に体温が上がった。
番になるためにここにおるんは間違いないんやけど、陸からこんなシチュエーションで言われたら破壊力が、破壊力がぁっ


「あ"ーっ、んな顔すんなっ
また噛みたくなんだろうがっ」

「そ、それやったら、噛んでぇやっ
陸にやったら、いっぱいガブガブ噛んでほしいで?
だって、ホンマにホンマにそう思わへんと、牙って出てこぉへんのやろ?」


思わず身体を反転させて、陸に覆いかぶさるように躙りよってしもた。
咄嗟に膝で身体を起こして、陸の肩に触れてたんやけどな。
陸の顔と正面で向き合ってて。
我慢が効かへんとか、そんなん言われた後やったのもあって、ボボボボボッと顔から火が吹くんちゃうかと思うくらい顔が熱くなった。

陸の顔もなんや赤い。
赤い上に、ギュッと眉間にシワが寄って険しくなってきたっ

お、俺、とんでもないこと言ってしもた?

陸がそんなふうに思ってくれてたんがめっちゃ嬉しなって、バーンとテンション高まってしもてつい口から出たんやけど。

βと違って、αにとったら男とか女とかよりバース性が重視されるんやろうけど、俺ってこんなんやしな。
両想いで、こんなとこまで用意して貰えてても、陸が発情フェロモン感じれへんのにその気になれるんか心配もあってん。
せやから、嬉しくてついっ

でもでも、あんまり噛んで欲しいとか面と向かって言わん方が良かったやんな?
だって、αがΩを噛むときって決まってるやん?
それって、俺からしたいですって迫ってんのと一緒やん?
しかも、噛むのって特別なことやから、抱いて欲しいの更にこぉ凄いこと口走ってることになるんやんな?

番になりたいとか、陸に俺の覚悟を知って欲しくて言ってたけど。
これは、あかんやつちゃう?
直球過ぎてそれこそ恥じらいが無いって、陸からそっぽ向かれるんちゃうん?

ヒヤッと一気に体温が下がった。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

処理中です...