ヘタレαにつかまりまして ２

37 牙 side 渡

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陸のこと、怖がる生徒が多いけどな。
俺に水泳とかバスケ教えてくれたりもそうやし、生徒会の仕事に関しても一緒にトラブル対応行ってたんやけどな。
そのときも最後まで面倒見えぇし、頼れて優しいとこがいっぱいあるねん。
陸と直に関わった生徒はそのへんのことわかってしまうしな。
陸に感謝してる子もいんねん。
俺宛の手紙に、「笹部先輩にもありがとうございましたとお伝えください。」って書いてくる子もいるもん。

陸と追いかけっこしてたあの夜から、海ちゃんと空ちゃんとは全然会えてないんやけどな。
陸と番になったら発情フェロモンも出ぇへんなるし、陸のおにいちゃんなとこいっぱい聞いてみたいなぁ。
海ちゃんも空ちゃんも、陸のこと大好きなおにいちゃん子やし、えぇ話が聞けそうや。
俺一人っ子やし、兄妹の話を聞くの楽しみやなぁ。

髪の毛洗ってもらうんがあんまり気持ち良くて、一緒に湯舟に浸かるときに明日も洗ってってお願いした。
それで、そのときは俺もリベンジで陸が気を抜いてくれるくらいに上手く洗ってみせるでって宣言もした。
陸、俺が髪とか背中とか洗ってる間、身体がガチガチやってん。
そんなに信用ないんかなぁ。

浴槽の中では、向かい合わせか背中を預けるか、究極の選択やってんけどな。
今日は、背中を預けることにしてん。
先に陸が入って座った前に、俺はチャプンと座って陸に足をもっと開けてぇなってお願いした。
一回入るとな。
プールと一緒で時間掛けんでもすんなり入れんねん。　

何を始める気だって、陸に警戒された気もしたんやけど。
単に前に座るだけやってわかってからは、好きにさせてくれてん。
あー、憧れのバッグハグでのお風呂～
最高やんっ

陸の両脚に挟まれて、背中に陸の存在めっちゃ感じてると、今後お風呂が怖くなるなんてこと無い気がしてきたわ。

陸は、傷口からは離れてる俺の肩を気遣うように指で撫でてな。
「痛むか？」ってまた心配してくれたんやけど、そんなん陸の噛み跡のほうが痛そうや。
お湯につけてる腕を見たら、触るのも躊躇うくらいクッキリしてるんやもん。
もしかして、腕で噛む練習してるんやろか？
腕と首やと、形も違うし練習にならんと思うで？


「全然大丈夫やで？
それより、うなじを噛む練習は今日はいつするん？
昨日は急で驚いてしもたけど、もう心の準備はちゃんと出来てるからいつでも大丈夫やで？」


首を反らして見上げたら、陸はぽかんとしてた。
あれ？


「えっと、ほら、腕よりほんまの首を噛んだほうがえぇんちゃう？
番のときの噛み跡って、一生ものなんやろ？
αやないしちゃんとわかってへんけど、こだわりとかあんのちゃうの？」