ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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37 牙 side 渡

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その日の晩御飯は、ふわとろオムレツと玉ねぎのサラダと野菜たっぷりコンソメスープ。
あと、陸用にナスとトマトのミートグラタンにしてん。
陸、俺の1.5倍は余裕で食べんねんけどな。
めっちゃ美味しそうに食べてくれるし、そんなにガツガツ食べてるわけやないのに俺と食べ終わんの変わらへん。
αの胃袋は宇宙のブラックホールなんかもしれへん。
明日はもっと品数増やそうっ
「ごちそうさま」のときの陸の笑顔、凄く幸せ満開やねん。
もっと見たいわぁ。

食べ終わると、陸が皿洗いするから先に風呂に入れよって言ってくれてな。
俺がご飯作ってる間に、帰りに寄って回収してきた洗濯物をたたむだけやなくて、お風呂と洗面所とトイレの掃除までしててくれててビックリした。
昨日陸がご飯並べる用意してくれてたとき、俺なんてほんまに座って待ってるだけやってんもん。

「一人暮らししてるから慣れてる」なんて言われたんやけどな。
俺も陸みたいにしっかりせなあかんなって思ったわ。

しかもな。
陸、昨日俺が浴槽でパニックになってたん見たんが大きいんやろうけど。
お湯の量、わざと昨日の半分しか入れへんように設定まで変えてくれてた。
前に、最初はお湯の量を減らして入るから足浴みたいやねんって話たん、覚えてくれてたんかなぁ。

うわーうわーうわぁあーっ
俺、めっちゃ陸に大切にされてるっ
一番苦手なとこにそんな心遣いしてされたら惚れ直すやんっっ

足だけ浸かるのに慣れてきたから、浴槽の中にゆっくり腰を下ろして追加でお湯を足す。
じわじわ水面が迫ってくるけど、陸に水泳特訓して貰ってから怖さが前ほど無いねん。
泳げるようになった自信があるからなんかな。

せやしな。
お風呂も怖くなくなってるし、昨日は陸とここでイチャイチャ出来る予定やってん。

だってな?
お風呂で二人きりなんて王道シチュやん?
そこでなんも無いなんてあかんやん?
こんだけ大きい浴槽やったら、向かい合わせも余裕やし、窓の手前が座れるようにベンチになってるけど、そこでも・・・はぁぁあ、あかん、あかんわぁっ
昨日の陸の裸思い出して、今までぼんやりやった妄想が現実に近くなってしまうっっ

俺、陸としたいいろんな『計画』を同時進行で準備してるんやけどな。
最優先の『計画』を前に、妄想で興奮してる場合やないねんて。
いつ来るかわからへん発情期の前に、どうしてもしとかんと後悔する『計画』なんやもん。
時間があらへん。
陸にうなじ噛まれて嬉しがってる場合やないねんっ
いや、嬉しいし、入る前に絆創膏剥がしてスリスリ指で確認してニヤニヤしてたけどなっ

はよ、陸入って来ぉへんかなぁ。
チラチラすりガラスの扉の向こうを気にしてるんやけど、人の気配が何もない。
俺がこのままやと茹だりそうや。


「なぁ、陸、はよ入って来て」


周りに誰も住んでへんし、陸を大きな声で呼ぶ。
昨日は、俺がタンマ言って暴れて台無しにしたけど、リベンジするでっ
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