ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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37 牙 side 渡

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俺の自信の無さが顔に出てたんやろな。
陸はふわんと微笑んで、俺が何なんその顔めちゃ可愛いやんっと心ん中キュンキュン鳴らしまくってたら頬をフニッと優しく摘まれた。


「心配すんな。
そこまで俺が背負う。
が、パニックになると厄介だからな。
目は閉じとけ」

「え、俺そこそこ体重あんで?
みこちゃんみたいに軽ないで?」


学園祭で芝浦君が片腕にみこちゃん乗せて歩いてたん見てαって力持ちなんやなぁってびっくりしたんけど、俺標準体型やからな。
みこちゃんみたいには行かへんで。
背負ってしかも丸太の橋を渡るなんて大変やん。
まさかそんなん歩くとは思ってなかったし、陸に迷惑かけてまでって思ったら断った方がえぇんちゃうかなと思えてくる。


「あほ、忘れたのか?
去年の夏、ここでバスケ練習中に倒れたお前を運んだのは俺だぞ。
あれからそんな変わってねぇだろう」


あ、そう言えばそやった。
陸と松野君と竹居君にバスケ教えてもろててたとき、夢中になり過ぎてヘロヘロになって帰り道運んでもろてたんやった。
1on1の実践ぶっ続けとか、めちゃくちゃ楽しかったなぁ。

陸にはすぐボールカットされてドリブルで遊ばれてしもたし、松野君には離れたとこからスリーポイントシュート綺麗にバンバン決められたし、竹居君はボールを俺に持たせてくれてもプレッシャーかけて全然シュートにいかせてもらえへんかったりの容赦無しやってんけど。
やってる途中、他の二人が外からアドバイスくれて盛り上がれてん。
それまでに陸には水泳でお世話になってたけど、他の二人とはお泊り旅行に誘ってもらうまでそんなに話してなかったしな。
あっこから一気に距離が縮まったんちゃうんかな。

バスケ練習してたグラウンドから、泊まってた家までそこそこ距離あったし。
春の身体測定やと、一年で伸びたんは2cm、体重もちょびっと増えてたくらいやった。
うん、陸に甘えようかな。
やっぱり見ときたいやん。
海ちゃんや空ちゃんには内緒やのに、俺にだけ教えてくれた陸の秘密の場所。


「ほな、お願いします」

「任せとけ」


ペコンと頭を下げたら、その頭にポンポンと優しく触れられた。
ふふふ、あれやな。
陸にやと、チュウされんのも頭触られんのも全部嬉しいから口が自然と笑ってしまうわ。
こそばゆい。
触れたとこから、陸が俺のこと好きなんがじんわり伝わって来るんやもん。

俺もいっぱい伝えたい。
陸のことが好き。
陸の番になれんのが嬉しい。

だから、Ωにして貰えたこと、陸が気にする必要ほんまにほんまにないんやで。
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