ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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37 牙 side 渡

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はぁぁぅうぇぇああぁぁ・・・

テーブルに朝ご飯を並べてくれてた陸から「どうした?」って聞かれて、初めて俺の困惑満たんな溜息が口から出てしもてたことに気付いた。
その場はなんでもないよって誤魔化したんやけど、誤魔化したんやけど、なんでもあるねんっ
ありまくりやねんっ
キッチンに戻る背中に、「なんでもあるでーーーっ」て言いたい。
言いたいんやけど、もし言ってしもたら陸とその「なんでも」を話さなあかん。
でも、まだその話を陸にすんのが怖いねん。
せやし、今はなんも聞けへんねーんっっ

ひっくり返って背中をソファに預ける。
社宅や陸の家より天井が高い。
でっかい扇風機みたいなんが、くるくる回ってる。
俺の頭ん中もくるくるしとる。

俺がタンマって言うたんがあかんかったんかな・・・でも、タンマでは止まらへんって陸言うてたとこやったやん?
あぁ、あんときの陸、めっちゃ格好良かったぁ。
陸が格好良過ぎて、胸がキュンキュン鳴りっぱなしやもん。
それ独り占めしてるんがめっちゃ嬉しい。
このままここでずっと暮らしたりって、あかんあかん。
学校休み過ぎたら進級できへん。
かなちゃん達を卒業式で見送んのは嫌や。


「おい、本当に大丈夫か?
食うぞ?」

「へぁっ、食べるッ、食べるッ」


気が逸れてしもてたわ。
飛び起きたら、お箸も小皿もいつの間にか俺の前に並んでた。
両手を合わせて「「いただきます」」
昨日貰ったタッパの残りをおかずに、陸がどんどん食べ進めてる前で俺も箸を動かした。
空腹のままやったら、暗いことばっか考えてまうしな。

2日分ありそうやったおかずは、昨日の夜と今朝で完食。
タッパは全部空っぽになった。
どれもみんな美味しくて、あとでレシピ聞きに行きたいなぁって言ったら、陸もそうだなって。

αやからなんやろな。
陸、めっちゃ食べてたもんな。
お昼、何つくろうかな。
野菜いっぱい貰えるみたいやし、冷蔵庫にお肉もお魚もあった。
夜も朝も、陸がレンジで温めて並べるだけやからって任せてしもたし、お昼は俺の出番や。

ここ、オーブンまであるし、おやつにチョコレートケーキ焼くのもえぇな。
あ、でも材料無いし頼みに行かなあかんわ。

その後、二人で並んで食器を洗ってタッパを拭いた。
あとは、昨日汚してしもてる服をランドリーバックに入れて株元さんとこに出発や。
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