ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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35 準備 side 渡

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俺が、ここ、陸の家が所有してる里山に来るのは三回目、らしい。
初めの一回。
陸と初めて会ったときのことを、俺は覚えてへんねんなぁ。
小学二年のときの引っ越し期間中に、ここに住んでた柿崎のじいちゃんに俺だけ預けられに来てて。
そのあとは、去年の夏。
かなちゃん達に誘われて、バスケ教えてもらったり、キャンプファイヤーしたり、花火したり。
これはちゃんと覚えてるし、毎日めっちゃ楽しかった。

ほんで、今日、三回目に来た理由は・・・陸と番になるためっっ

うっひゃああぁぁーーーっ、やわあっっ

修学旅行の帰りに、実は俺はβやなくて変異達Ωやってわかってからな。
いつか来る、いつか来る、いつか来るーーーって、めっちゃめーーーっちゃ妄想してたんやけどっ
陸に怒鳴られたり、話しかけられへんくらい遠ざけられてたりもしてたしな。
まだまだ先、どころか、陸のことは諦めなあかんのやなぁって思ってたときもあったし。

はぁー・・・そやのに、両想いやってわかってからの、ここに来るまでの展開がめっちゃ早かったぁっ
ほんまに、恋愛小説の中の人になったみたいな怒涛の展開やわぁ。

千里さんとおとんが運転してくれた行きの車の中でもな。
ソワソワ、ソワソワ。
後部座席に陸と座っててんけど、落ち着かへん。
陸には、目を細めて笑われてた気がする・・・っていうか、車に乗る前から顔をまともに見れへんなってた。
陸は、俺みたいにドキドキしてるんやろか。

んー、陸やったらやっぱり余裕な気ぃするなぁ。
陸って、いっつも慌てずにどっしり構えてるもん。

ここに来たんは、最初は四人やってん。
千里さんとおとんと陸と俺でおとんの車で来てん。
おかんは、ここに来ることになってからダメ元で休み中の上司の人に連絡したんやど。
急に明日休みたいって申請は通らへんかってん。
他の人が休みを先にとってたから、職場の人が足りひんなるんやて。
おとんは、自分が管理職やからなんとかゴリ押しでもぎ取れたみたい。
ほんま、急やったもんなぁ。

昨日の別れ際、おかんからは「後悔せんようになっ」て背中をバシーンッと叩かれたんやけど。
後悔、後悔・・・後悔って、こういうときはどのへんでするもんなんかなぁ。
俺、女の子ともしたことないし、初めてやし。
思い当たるんって、そろそろ発情期かもって感じたら、この日のために買っておいたちょっと高いよそ行きの下着を履き忘れんように準備しとくとか?
あと、変な声出して笑われんようにするとか??

でも、発情期のΩって、まともではいられへんって恋愛小説には書いてたしなぁ。
意識を保つのも、記憶に残すんも難しそうなんよなぁ。
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