ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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34 準備 side 陸

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渡は、変異種Ωがどれくらいひでぇ目にあわされるかわかってねぇ。
茅野学園がいくらバース性の差別を無くそうって校風で、Ωだと公言しているかなちゃんや樟葉に対する風当たりは強くなくても、だ。
生まれながらのΩと、変異種Ωじゃ扱いも変わる。

一昔前みてぇに、感染で変異種Ωになる人間が増えるんじゃねぇかと、周りから誤解され忌避されるかもしれねぇ。
これについては国が否定しているが、根強く信じる人間は多い。
そいつらに、直接酷い言葉を投げつけられるかもしれねぇ。
そこで、渡がΩに変わったのは俺の血のせいだ、とまでは・・・一族全員の了承も無しに言えねぇけど。
渡を傷つけるような輩は、正式な決闘で一人残らず狩る腹積もりでいる

日曜日。
今後について、五人で話しあったとき。
千里さんと俺は、番になったあとも卒業するまでβとして過ごせるように学園に掛け合うつもりでいたんだ。
β特区に住んでいる渡を、かなちゃんのように実は生まれながらのΩだったと言うには無理があるからな。

だがこれは。
渡に言わせれば、「え、なんで?」と首を傾げることだったようだ。

千里さんは、変異種Ωになったことを隠し通してα至上主義の優生学園高等部を卒業している。
Ωよりも厳しい変異種Ωに対する偏見を説明したんだけどな。


「千里さんが心配してくれてるんは嬉しいけど、そんなことする人は、茅野学園にはいぃひんと思う。
それに、Ωになったことは隠さん方が、堂々と陸の隣に居れて学校でイチャイチャ出来るし」


千里さんが唖然とする理由で却下。
学校だからこそのイチャイチャスポットまで語りだそうとして、頼子さんが流石に止めていた。
・・・渡は、俺と学校でイチャイチャしたいのかと。
思いもよらねぇことを言われ、このとき俺も隣で唖然。

渡が願うことなら、なんとかしてやりたいが・・・俺がイチャイチャ?
菊川の群れと関わりたい目的があって寄ってくるα女子を相手にしたことはあっても。
イチャイチャと名がつきそうなことは、したことねぇ。

これが、渡から今まで見る気も起きなかった恋愛小説を借りるきっかけにもなったが。
あまりのお気楽ご都合主義な展開と砂を吐きそうな甘ったるいセリフに、ページはほとんど進んでねぇ。

この席で、頼子さんや道成さんは、これから先何が起こったとしても渡本人の意志を尊重して責任は自分達も負いますと明言。
それを聞いた千里さんは、恐らく自分の境遇との差を強く感じて思うことはあったんだろうが。
相手がそこまで言っているのに、反対することは出来ねぇからな。
最後は、渡が変異種Ωになったことを公表することに反対はしなかったんだよな。
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