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33 挨拶

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三枝は口を尖らせたが、キッと目に力を込めて睨み返してやる。
ヤマが感知していないとはいえ、発情フェロモンが出ている状態で外に出ること自体有り得ないぞっ

すると三枝は、樟葉に助けを求めて視線を泳がせたが、相手に困った顔をされてようやく諦めがついたようだ。
その場で笹部が親に迎えに来るよう連絡を終えると、二人で生徒会室を出ていった。


「三枝にも困ったものだな」


深々とため息をつき、ヤマの手を借りてその膝から降りる。
力になりたいと熱弁していた樟葉も、苦笑い。


「んん~、流石に発情フェロモンが出てる状態だとねぇ。
何も思いつかないよねぇ」

「三枝は、二次元の偏った知識が多いせいもあるんだろうが、笹部までそれに賛同するとか・・・ったく、あの二人はどうなってるんだ」

「危険だねぇ」

「まぁ、三枝が望んでいるから今更止めはしないが、番になってからも安心できそうにないぞ」

「フフフ・・・、かなちゃんは心配性だねぇ。
Ωは番を変えれないけど、それ以外のことならなんとかなるものだよぉ」


のほほーんと微笑む樟葉。
それは・・・そう、なのか?
一生に一人だけの番を持ち出されると納得しそうになるが。
番以外のことでも、後からなんともならないことだってあるだろう。

チラッとヤマを見上げたが、ヤマはあまり興味がないらしい。
目が合っても、ニコッと微笑まれただけで特に何も言わなかった。

腕時計を見ると、ショートホームルームまであと15分。
これから教室に向かっても、机や椅子の並び替えは終わってそうだな。
三枝の方から、関係者として俺達三人の名前が先生に報告されているかもしれないが。
よし、念の為直接伝えておくか。
今後、笹部と三枝の間で何かが起こったとき、生徒側にも事情を知っている人間がいるとわかった方が学校も動きやすいだろう。

二人も俺の提案にのってくれたので、生徒会室から三人揃って職員室に向かった。
扉をノックして入ろうとしたが、学年ごとにちょうど会議中のようだった。
扉を開けた時点で、3つのグループに別れた教師陣から視線が集中。
休み時間に出直した方が良さそうだな。

「また、出直します」と言って扉を閉める前に、手前にいた教師に止められ、担任の槇地先生をわざわざ呼び出してこちらまで連れてきてくれた。


「どうした、桜宮に、菊川に・・・樟葉まで?」


ヤマの後ろに隠れていた樟葉に気付き、明らかに槇地先生は何ごとだと身構えた。
ヤマと俺は、生徒会もしているのでここに顔を出すことはあるし、樟葉も呼び出しを受けてここには来ているが。
この三人の取り合わせが、意外だったようだ。


「三枝の件で」


コソッと伝えると、槇地先生は「少し待っていろ」と言って一度自席にもどり、他の教師に何かを告げて席を外すことを取り付けたようだ。
頭を下げてからこちらに小走りで向かってくる。
途中、何かを思いついたらしく壁際のキーボックスに寄ると、そこからカードキーを一枚取ってやってきた。
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