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32 挨拶 side 渡
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「あー、明日何着てこうかなぁ。
こんなことなら、今日美容院に行っとけば良かったわ。
髪も染め直したかったなぁ。
手土産かて、買いに行けてへんし・・・あ、でも、食べもんは持っていったら、うちらが千里さんの自慢してた鋼さんの手料理、食べれ」
「グフッ」
話の途中で、笹部君が飲んでたお茶で噎せたっ
だ、大丈夫??
俺、隣やったし背中を擦ってんけど、変なとこ入ってしもたみたいでなかなか落ち着かへん。
おかんも流石に口は止めて、「大丈夫?」って声かけてくれたわ。
おとんも心配して、笹部君が手に持ったままやった湯呑を受け取って落ち着くん待ってくれてた。
「・・・ハッ、ん、大丈夫、です。
てか、千里さん、自慢してんのかよ」
「あれ?
そこ意外やった?
毎日やないけど、写真も送ってくれてるで?
今年の春から二人暮しになって、千里さんの好きなもんがよけ出るようになったから、太りそうって」
おかんが、テレビ台の上によけてた自分のスマホを持ってきて、その画面を「はいっ」て向かいに座ってた俺らに見せてくれたんやけどな。
机に並んだ彩り綺麗なちらし寿司とか茶碗蒸し、あとお刺身にこれはカルパッチョやろか?
どれも、器の盛り付けから凝っててお店みたいや。
「うわぁ・・・めっちゃすごいなぁ」
「魚も市場まで一緒に買いに行ったり、船釣りにも行ったり、凄い楽しそうな鋼さんの後ろ姿の写真送ってきてくれてるで。
ツーショットは送れませんっのつれない一点張りやけどな」
「千里さん・・・へぇ・・・」
なんや、笹部君、目ぇが遠いとこ眺めてる。
でも、お茶を飲み直したらちょっと気を取り直せたみたい。
ふぅ、って一息ついてな。
「食べ物に関して、配慮いただきありがとうございます。
今後、もし何かあれば、さえ・・・渡君を一度通し」
「わあぁっ」
俺、声が思わず出てしもたっ
大きな声に、笹部君はギョッとしてるけどそれどころやないで。
わ、わ、渡君って言われたぁっ
笹部君に下の名前で呼ばれたん、初めてやでっっ
心臓が、キュンッて鳴ったわっ
あぁ、でも、君付けより呼び捨てがえぇなぁ。
笹部君に、渡って言われたい。
俺も、俺も・・・りりりり、り、陸って呼びたいっ
キャーキャー自分の赤くなった顔を手で抑えてたらな。
笹部君には心配されるし、おかんとおとんには生暖かい目で見られてしもた。
もぉ、しゃーないやんっ
今日がお付き合いし始めなんやしっ
でも、これも一緒に聞きたいことになるんやろ。
俺、説明は諦めて、開き直って一人で喜ぶことにしてん。
こんなことなら、今日美容院に行っとけば良かったわ。
髪も染め直したかったなぁ。
手土産かて、買いに行けてへんし・・・あ、でも、食べもんは持っていったら、うちらが千里さんの自慢してた鋼さんの手料理、食べれ」
「グフッ」
話の途中で、笹部君が飲んでたお茶で噎せたっ
だ、大丈夫??
俺、隣やったし背中を擦ってんけど、変なとこ入ってしもたみたいでなかなか落ち着かへん。
おかんも流石に口は止めて、「大丈夫?」って声かけてくれたわ。
おとんも心配して、笹部君が手に持ったままやった湯呑を受け取って落ち着くん待ってくれてた。
「・・・ハッ、ん、大丈夫、です。
てか、千里さん、自慢してんのかよ」
「あれ?
そこ意外やった?
毎日やないけど、写真も送ってくれてるで?
今年の春から二人暮しになって、千里さんの好きなもんがよけ出るようになったから、太りそうって」
おかんが、テレビ台の上によけてた自分のスマホを持ってきて、その画面を「はいっ」て向かいに座ってた俺らに見せてくれたんやけどな。
机に並んだ彩り綺麗なちらし寿司とか茶碗蒸し、あとお刺身にこれはカルパッチョやろか?
どれも、器の盛り付けから凝っててお店みたいや。
「うわぁ・・・めっちゃすごいなぁ」
「魚も市場まで一緒に買いに行ったり、船釣りにも行ったり、凄い楽しそうな鋼さんの後ろ姿の写真送ってきてくれてるで。
ツーショットは送れませんっのつれない一点張りやけどな」
「千里さん・・・へぇ・・・」
なんや、笹部君、目ぇが遠いとこ眺めてる。
でも、お茶を飲み直したらちょっと気を取り直せたみたい。
ふぅ、って一息ついてな。
「食べ物に関して、配慮いただきありがとうございます。
今後、もし何かあれば、さえ・・・渡君を一度通し」
「わあぁっ」
俺、声が思わず出てしもたっ
大きな声に、笹部君はギョッとしてるけどそれどころやないで。
わ、わ、渡君って言われたぁっ
笹部君に下の名前で呼ばれたん、初めてやでっっ
心臓が、キュンッて鳴ったわっ
あぁ、でも、君付けより呼び捨てがえぇなぁ。
笹部君に、渡って言われたい。
俺も、俺も・・・りりりり、り、陸って呼びたいっ
キャーキャー自分の赤くなった顔を手で抑えてたらな。
笹部君には心配されるし、おかんとおとんには生暖かい目で見られてしもた。
もぉ、しゃーないやんっ
今日がお付き合いし始めなんやしっ
でも、これも一緒に聞きたいことになるんやろ。
俺、説明は諦めて、開き直って一人で喜ぶことにしてん。
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