ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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32 挨拶 side 渡

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グゥーーーッ

んん?
お腹の鳴る音が聞こえたし、目ぇ開けたらな。
笹部君がベンチに座り直して、お腹さすっててん。


「笹部君、お腹空いてるん?
お昼、食べれてへんの?」

「んー、ぁ、まぁ、そんな感じだな。
とりあえず、生徒会室に戻るか・・・」

「あ、待って、待ってっ」


確か、ここに入れたまんま・・・ポケットに手ぇ突っ込んだら、お目当てのキャラメルの箱に当たった。
ちょっとはお腹の足しになるかもしれへん。


「笹部君、キャラメル食べへん?
これな、人気投票で三位獲ってた屋台村で、俺が射的して当ててんっ」


ジャーンと両手で持って、笹部君の前でカタカタ鳴らす。
中身もちゃんと入ってる新品やで。
笹部君、即答。


「喰う」


うんうん、食べて、食べてっ
俺も笹部君の隣に座り直して、いそいそ外の透明フィルムを取る。
箱から一粒出して、「ハイ」って渡そうとしてんけどな。
笹部君、隣で俺見ながら大きく息吸ってから息止めてな。
マスクを外して、口を開けてくれてんっ
わっ、「あ~ん」してえぇの?!
かなちゃんらが、カフェテリアであげあいっこしてんの見てたしな。
実は、憧れててんっ

笹部君も羨ましがってたっけ。
ふふふ、これからいっぱいあげあいっこ出来んのかなぁ。

俺は喜んで個包装の紙を半分剥がして、笹部君の口に持っていった。
紙まで食べへんように、気ぃ付けながらパクンと口にした笹部君がめっちゃ可愛えぇっ
目ぇ細めて、ゆっくり味わって食べてくれてんのも可愛えぇっ
格好良い笹部君が、めっちゃくちゃ可愛えぇでっっ


「美味しい?
まだあるし、言ってな?」

「お前は、いーのかよ?」

「うん、今、お腹空いてへんし大丈夫。
お昼、桂木君と周って、半分こしながらほとんど全部の食べもん制覇したし」



それに、チュウの感触忘れそうやしな。
今は何も口にした無いねんなぁ。
へへへッて、靴の先見ながら照れ笑いしてしまうわ。


「そうそう、桂木君、射的でな。
屋台村のメニュー全品引換券ゲットしてな。
それも全部半分こしてくれてん」


「こーんな小さい的やってんで」って、人差し指と親指で丸を作って大きさを再現。
凄いやろって、その丸の中から笹部君を見たんやけど・・・キャラメル食べて上機嫌やった笹部の雰囲気がなんかおかしい。


「へぇ・・・」


乾いた声もやし、俺から目を逸らして前を向いた首の動きも、ギギギッて軋んだ音を立てそうやで??
味、合わへんかったんやろか・・・


「笹部君、もぉ、食べへ・・・」
「いーや、喰うっ」


喰い気味で答えられてビックリした。
そんなにお腹空いてたんや。
そやったら、笹部君のペースで食べた方がえぇんちゃうかなぁって箱ごと渡そうとしたんやけど。
笹部君、受け取ってすぐに一粒手に取ってな。
俺がしたみたいに包装紙を半分開けて、俺の口元に持ってきてくれたし・・・んん、しゃーないなぁ。
そう思ってても、ニヤニヤ笑ってしまうのは止められへん。

笹部君、チュウ、またしてくれるやんなぁ?
「あ~ん」って食べたら、箱が返ってきてな。
また笹部君も息止めて口開けるしな。
もう一つ笹部君にあげてん。
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