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32 挨拶 side 渡
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「三枝には、その、ショックだとは思うんだけど・・・俺は、昔、お前を、変異種Ωにしたこと、後悔したことはねぇーんだよ」
俺が発情フェロモンの言葉に焦ってからな。
笹部君の緊張して切羽詰まってた空気が、優しいもんに変わってん。
語り口も、トツトツとした、真摯なんやけどぶっきらぼうなのから。
いつもの、ちょっとからかい混じりの優しい口調が混じってくる。
うん、その方が嬉しい。
俺は、足で地面を蹴って、座ってる身体を笹部君に半分近づけてん。
笹部君は、そんな俺を瞬きしながら見てたけど。
ホッとしてくれたんがわかったしな。
俺もホッとした。
「あのときの俺は、カッキーを自分のΩに出来たことに喜んで、会うなと言われたことに理不尽だ、とか。
結構、ひでーこと考えてたこともあったし」
笹部君は、その時のことを思い出したみたいで目を細めて「ククッ」て嗤った。
「それに・・・三枝のことは、カッキーだってわかる前から、俺の特別だったしな」
「ほんまに?!」
うわっ、おっきな声出して、しかも立ち上がってしもたっ
さっきの逆やんっっ
笹部君もそれに気付いてな。
びっくりしてから、直ぐに可笑しそうに嗤うねん。
いやいや、ここ、俺には大事やしなっ
そんな、嗤わんでもえぇやんかっ
すっかり、真面目な空気が一掃されてる。
でも、俺、こっちの方が話しやすい。
笹部君、ツボに嵌ったんかな。
俺、ちゃんと聞いときたいとこやのにな。
肩を揺すって嗤ってて、しかも、笑いながら涙目になってくし。
「もー、笹部君?!」
「ハハッ、すまねぇ、けど、ホント、お前って天使だな」
ん~~??
天使って、なんなん?
なんか、生徒会室でも言われてたような・・・俺、笹部君にからかわれてるん??
「笹部君?!」
咎めるように名前を呼び直したら、笹部君も嗤うの止めてくれた。
「あのさ、去年の学園祭で、お前にチョコレート貰って食べたの覚えてるか?」
「んー、あの、シークレットチョコ?」
「それまでに、俺はお前に奢ってたし、てっきり変異種Ωにしたと思って焦ったんだぜ。
でも、そのときにはもうなってんだから熱も出なかったろ」
「うん?」
だから、あの後に体調心配してくれてたんやなぁ。
熱を毎日のように気にしてくれてた笹部君を思い出す。
ついニコニコしてたらな、笹部君に軽いデコピンされた。
え、なんで??
「アホ。
ならねぇってことは、あの時点でお前が俺に好意をカケラも持ってねぇってことになるんだよ。
あの後、俺とお前の関係はそのまんま。
だから、俺はずっと嫌われてると思ってたんだ・・・ひでーこと言って、ごめんな」
・・・!!!
そ、そう言うことになるん?!
笹部君の寂しそうな目が、後悔で翳ってる。
あぁ、だから、俺が好きやって言っても信じてくれへんかったんや。
俺、好きになってもらうことばっかり考えてて。
好きやって気持ちは、ちゃんと伝わるって思い込んでた・・・かなちゃんにも、難しいって言われてたけど、なんとかなるって思っててん。
何度も言えば、きっと伝わるって。
でも、そんな簡単なもんや無かったんや。
笹部君にとったら、あのときに俺が変異種Ωにならんかったことだけが大きい事実になるんや。
俺が発情フェロモンの言葉に焦ってからな。
笹部君の緊張して切羽詰まってた空気が、優しいもんに変わってん。
語り口も、トツトツとした、真摯なんやけどぶっきらぼうなのから。
いつもの、ちょっとからかい混じりの優しい口調が混じってくる。
うん、その方が嬉しい。
俺は、足で地面を蹴って、座ってる身体を笹部君に半分近づけてん。
笹部君は、そんな俺を瞬きしながら見てたけど。
ホッとしてくれたんがわかったしな。
俺もホッとした。
「あのときの俺は、カッキーを自分のΩに出来たことに喜んで、会うなと言われたことに理不尽だ、とか。
結構、ひでーこと考えてたこともあったし」
笹部君は、その時のことを思い出したみたいで目を細めて「ククッ」て嗤った。
「それに・・・三枝のことは、カッキーだってわかる前から、俺の特別だったしな」
「ほんまに?!」
うわっ、おっきな声出して、しかも立ち上がってしもたっ
さっきの逆やんっっ
笹部君もそれに気付いてな。
びっくりしてから、直ぐに可笑しそうに嗤うねん。
いやいや、ここ、俺には大事やしなっ
そんな、嗤わんでもえぇやんかっ
すっかり、真面目な空気が一掃されてる。
でも、俺、こっちの方が話しやすい。
笹部君、ツボに嵌ったんかな。
俺、ちゃんと聞いときたいとこやのにな。
肩を揺すって嗤ってて、しかも、笑いながら涙目になってくし。
「もー、笹部君?!」
「ハハッ、すまねぇ、けど、ホント、お前って天使だな」
ん~~??
天使って、なんなん?
なんか、生徒会室でも言われてたような・・・俺、笹部君にからかわれてるん??
「笹部君?!」
咎めるように名前を呼び直したら、笹部君も嗤うの止めてくれた。
「あのさ、去年の学園祭で、お前にチョコレート貰って食べたの覚えてるか?」
「んー、あの、シークレットチョコ?」
「それまでに、俺はお前に奢ってたし、てっきり変異種Ωにしたと思って焦ったんだぜ。
でも、そのときにはもうなってんだから熱も出なかったろ」
「うん?」
だから、あの後に体調心配してくれてたんやなぁ。
熱を毎日のように気にしてくれてた笹部君を思い出す。
ついニコニコしてたらな、笹部君に軽いデコピンされた。
え、なんで??
「アホ。
ならねぇってことは、あの時点でお前が俺に好意をカケラも持ってねぇってことになるんだよ。
あの後、俺とお前の関係はそのまんま。
だから、俺はずっと嫌われてると思ってたんだ・・・ひでーこと言って、ごめんな」
・・・!!!
そ、そう言うことになるん?!
笹部君の寂しそうな目が、後悔で翳ってる。
あぁ、だから、俺が好きやって言っても信じてくれへんかったんや。
俺、好きになってもらうことばっかり考えてて。
好きやって気持ちは、ちゃんと伝わるって思い込んでた・・・かなちゃんにも、難しいって言われてたけど、なんとかなるって思っててん。
何度も言えば、きっと伝わるって。
でも、そんな簡単なもんや無かったんや。
笹部君にとったら、あのときに俺が変異種Ωにならんかったことだけが大きい事実になるんや。
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