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32 挨拶 side 渡
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最後の片付けを海ちゃんと空ちゃんにお願い出来たしな。
言葉に甘えて、一人で校舎に入ってん。
笹部君、どのへんに居るんかなぁ。
スマホで連絡すんのも考えたけど、うんうん、どうせやったら「ワッ」て後ろから脅かしてみたいな。
自分の思いつきに「ふふふっ」て笑ってた。
あぁ、ほんまにこんな日になるなんてな~
ニヤニヤ口元が緩んでしゃーないわ。
あの、ステージで周りを熱狂させてた笹部君。
思い出すだけでも、気持ちが熱くて堪らへんなるあの格好良ぇ笹部君。
その、笹部君が、俺のこと、好きやってっっ
思わず、廊下を走りそうになる。
あかん、あかん。
足音でバレてまうやんっ
中庭に面した窓を覗いてな。
三方の窓を見上げてんけど、どこの窓も一階からやと見にくいなぁ。
時間的には、もう終わってるんかもしれへんなぁ。
集合時間は、18時。
あと15分くらいやし、集合場所の生徒会室に行ってみようかな。
ステージの撤去手伝ってくれてた子も帰ったし、先生の一部と生徒会役員とあと麻野君しかおらへん筈。
静まり返った廊下は、電気はついてるけどちょっと怖い。
足音をさせんように、静かぁに階段も廊下も歩いてたらな。
角を曲がった向こうのガラス窓に、笹部君とかなちゃんの姿が見えたっ
俺、角まで小走りで急いでな。
しゃがんで、出てくタイミングを図ろうと思ってん。
ちょうど、笹部君はこっちに背ぇ向けてるし、回り込まんでも驚かせるわっ
スタンバイしたらな。
この位置からやと、廊下の真ん中辺にいた二人の話してる声が筒抜けでな。
思わず、しゃがんだ姿勢で耳を澄ましてもうてた。
「・・・なんでマスクをまた着けるんだ?」
「あ?
三枝の匂いが漂ってきたんだよ」
ふぇっ?!
俺ってそんなに臭いん??
クンクン、自分で服を捲って匂いで見るけどわからへんっ
片付けで、汗とかかいたしやろか・・・
「そんなにわかるものなのか?」
「今は俺が感度を上げてるからだ。
んなに、強くねーよ。
近づいてきたら、迎えに行こうと思ってたしな。
菊川には、かなちゃんと部屋で待ってろって言われたけど、ちょっとくらいならいーだろ?」
「まぁ、それは構わないが・・・本当に、三枝をお前なんかに任せていいんだろうな?」
「は?
なんで、かなちゃんにんなこと言われなきゃなんねーんだよ。
そりゃ、俺が気付くまでにフォローもしてくれてたみたいだけどな・・・俺にも、責任は取れるぜ?」
・・・・・っっ
あぁ、そうなん。
やっぱり、そういうことなん・・・?
責任。
その言葉を笹部君の口から聞きたくなくて、頑張ってたんやけど。
やっぱりあかんかったんやぁ・・・
あぁ、笹部君が俺のこと好きなんて、やっぱり錯覚やったんや。
だって、そうやもんな。
生徒会室でも、俺がしたいことなんでもしてえぇとは言われたけど、その逆は言われてへん。
一方的な内容やった。
好きな相手やし、そうさせてくれるんやって思ってたけど。
俺をΩにしてしもた、罪滅ぼしやったんや・・・
聞いてしもた言葉がショックで。
二人の話も聞こえてこーへん。
目から、ポロポロ涙が溢れてくる。
慌てて口を抑えたけど、間に合わへん。
「ふぐっ」って、漏れた嗚咽は戻せへんかった。
言葉に甘えて、一人で校舎に入ってん。
笹部君、どのへんに居るんかなぁ。
スマホで連絡すんのも考えたけど、うんうん、どうせやったら「ワッ」て後ろから脅かしてみたいな。
自分の思いつきに「ふふふっ」て笑ってた。
あぁ、ほんまにこんな日になるなんてな~
ニヤニヤ口元が緩んでしゃーないわ。
あの、ステージで周りを熱狂させてた笹部君。
思い出すだけでも、気持ちが熱くて堪らへんなるあの格好良ぇ笹部君。
その、笹部君が、俺のこと、好きやってっっ
思わず、廊下を走りそうになる。
あかん、あかん。
足音でバレてまうやんっ
中庭に面した窓を覗いてな。
三方の窓を見上げてんけど、どこの窓も一階からやと見にくいなぁ。
時間的には、もう終わってるんかもしれへんなぁ。
集合時間は、18時。
あと15分くらいやし、集合場所の生徒会室に行ってみようかな。
ステージの撤去手伝ってくれてた子も帰ったし、先生の一部と生徒会役員とあと麻野君しかおらへん筈。
静まり返った廊下は、電気はついてるけどちょっと怖い。
足音をさせんように、静かぁに階段も廊下も歩いてたらな。
角を曲がった向こうのガラス窓に、笹部君とかなちゃんの姿が見えたっ
俺、角まで小走りで急いでな。
しゃがんで、出てくタイミングを図ろうと思ってん。
ちょうど、笹部君はこっちに背ぇ向けてるし、回り込まんでも驚かせるわっ
スタンバイしたらな。
この位置からやと、廊下の真ん中辺にいた二人の話してる声が筒抜けでな。
思わず、しゃがんだ姿勢で耳を澄ましてもうてた。
「・・・なんでマスクをまた着けるんだ?」
「あ?
三枝の匂いが漂ってきたんだよ」
ふぇっ?!
俺ってそんなに臭いん??
クンクン、自分で服を捲って匂いで見るけどわからへんっ
片付けで、汗とかかいたしやろか・・・
「そんなにわかるものなのか?」
「今は俺が感度を上げてるからだ。
んなに、強くねーよ。
近づいてきたら、迎えに行こうと思ってたしな。
菊川には、かなちゃんと部屋で待ってろって言われたけど、ちょっとくらいならいーだろ?」
「まぁ、それは構わないが・・・本当に、三枝をお前なんかに任せていいんだろうな?」
「は?
なんで、かなちゃんにんなこと言われなきゃなんねーんだよ。
そりゃ、俺が気付くまでにフォローもしてくれてたみたいだけどな・・・俺にも、責任は取れるぜ?」
・・・・・っっ
あぁ、そうなん。
やっぱり、そういうことなん・・・?
責任。
その言葉を笹部君の口から聞きたくなくて、頑張ってたんやけど。
やっぱりあかんかったんやぁ・・・
あぁ、笹部君が俺のこと好きなんて、やっぱり錯覚やったんや。
だって、そうやもんな。
生徒会室でも、俺がしたいことなんでもしてえぇとは言われたけど、その逆は言われてへん。
一方的な内容やった。
好きな相手やし、そうさせてくれるんやって思ってたけど。
俺をΩにしてしもた、罪滅ぼしやったんや・・・
聞いてしもた言葉がショックで。
二人の話も聞こえてこーへん。
目から、ポロポロ涙が溢れてくる。
慌てて口を抑えたけど、間に合わへん。
「ふぐっ」って、漏れた嗚咽は戻せへんかった。
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