781 / 911
32 挨拶 side 渡
2
しおりを挟む
でも、それは一瞬で。
すぐに明るい笑顔になってたから、もしかすると俺の見間違いやったんかもしれへん。
「良かったですねっ」
「うんっ
桂木君には、めっちゃ心配かけてしもてごめんな。
なんか、お礼するわっ」
「それじゃあ・・・去年のあのチョコレートケーキ。
あれをもう一度食べたいです」
えー、そんなんでえぇの??
俺、笹部君に怒られてから、桂木君の前で泣いてしもて。
みっともないとこ見せてんのに。
でも、他のって聞いても、桂木君、気を使ってあんまり答えてくれへんやろしなぁ。
「おんなじのやなくて、桂木君の口に合わせて作ってくるわ」
去年のは、笹部君用に作ったしめっちゃチョコレートの量増やしたしな。
桂木君、そこまで好みが甘口やないし。
うんうん、フワフワのチョコレートシフォンケーキとかどうかなぁ。
まだ渡してへんのに、桂木君の喜ぶ顔を想像して「へへへッ」て無意識に笑ってた。
桂木君は一緒に笑ってくれてな、「また連絡しますね」って帰っていってん。
よしっ、片付けをはよ終わらせて、笹部君を追いかけよっ
ステージの周りで動いてくれてる生徒の数は20人くらいいるねん。
あと、半分帰ってくの見届けた誘導係からこっちに回ってくれた先生もおるしな。
俺は、頑張るでって気合を入れ直した。
ステージを使ったことがある吹奏楽部の子もおったし、もともと軽くて組み立てしやすいデザインなのもあってな。
結構早く終わってん。
専用の箱に入れたステージ部材を、体育館横の倉庫まで台車で運ぶとちょうど海ちゃんと空ちゃんも柵をまとめた専用台車でガラガラ運び込んでるとこやった。
「「三枝セーンパイ、お疲れ様っ」」
「海ちゃんも空ちゃんもお疲れ様っ」
一緒に運んできた子と、海ちゃんと空ちゃんの後に入れよって入り口前で台車を止めてん。
この台車、いっぱい載っけても軽く感じるようにデザインはされてんねんけど。
ところどころグラウンドってボコボコしてるやん?
そこが運びにくかったわぁ。
「掃除までしてくれてるん?
ありがとう~
俺も、はくで?」
倉庫を覗いたら、海ちゃんが入れるついでにって、台車は外に出したまんまで箒で溜まった砂埃を出してくれてるとこやった。
鼻から下を、顔に巻いたハンカチでガードしてるから結構溜まってたみたいやわ。
「ダイジョーブ、ダイジョーブ。
どうせ、来年も生徒会で使うだろうしね。
まだ集合時間まで時間もあるからついでなんだー」
「海ちゃんと一緒にソレも入れとくよっ
台車ごと棚の下に入れるだけだしねっ」
空ちゃんは、「これもついで」って言いながら棚とか雑巾で拭いてくれてる。
えー、任せてしもてえぇんやろかぁ。
俺が迷ってたらな。
空ちゃんが、俺の手を掴んで倉庫の中に引き込んで。
両側から二人にガッチリ肩に手を回されてしもたっ
え、何、何??
「ショージキなとこね。
海ちゃん、三枝セーンパイには、兄ぃのとこに行ってほしいんだよ」
「兄ぃの機嫌が悪かったのも良くなったのも、ゼーッタイ、三枝セーンパイ絡んでるでしょ?」
「「ってことで、校舎へGO!」」
言いたいことだけ言った二人に、背中を押されて倉庫から弾かれてしまう。
待ってた子はビックリしたんやけどな。
俺もビックリ。
笹部君、妹には俺とのこともう話してくれてたりするんやろか?
なんや、照れてしまうわっ
すぐに明るい笑顔になってたから、もしかすると俺の見間違いやったんかもしれへん。
「良かったですねっ」
「うんっ
桂木君には、めっちゃ心配かけてしもてごめんな。
なんか、お礼するわっ」
「それじゃあ・・・去年のあのチョコレートケーキ。
あれをもう一度食べたいです」
えー、そんなんでえぇの??
俺、笹部君に怒られてから、桂木君の前で泣いてしもて。
みっともないとこ見せてんのに。
でも、他のって聞いても、桂木君、気を使ってあんまり答えてくれへんやろしなぁ。
「おんなじのやなくて、桂木君の口に合わせて作ってくるわ」
去年のは、笹部君用に作ったしめっちゃチョコレートの量増やしたしな。
桂木君、そこまで好みが甘口やないし。
うんうん、フワフワのチョコレートシフォンケーキとかどうかなぁ。
まだ渡してへんのに、桂木君の喜ぶ顔を想像して「へへへッ」て無意識に笑ってた。
桂木君は一緒に笑ってくれてな、「また連絡しますね」って帰っていってん。
よしっ、片付けをはよ終わらせて、笹部君を追いかけよっ
ステージの周りで動いてくれてる生徒の数は20人くらいいるねん。
あと、半分帰ってくの見届けた誘導係からこっちに回ってくれた先生もおるしな。
俺は、頑張るでって気合を入れ直した。
ステージを使ったことがある吹奏楽部の子もおったし、もともと軽くて組み立てしやすいデザインなのもあってな。
結構早く終わってん。
専用の箱に入れたステージ部材を、体育館横の倉庫まで台車で運ぶとちょうど海ちゃんと空ちゃんも柵をまとめた専用台車でガラガラ運び込んでるとこやった。
「「三枝セーンパイ、お疲れ様っ」」
「海ちゃんも空ちゃんもお疲れ様っ」
一緒に運んできた子と、海ちゃんと空ちゃんの後に入れよって入り口前で台車を止めてん。
この台車、いっぱい載っけても軽く感じるようにデザインはされてんねんけど。
ところどころグラウンドってボコボコしてるやん?
そこが運びにくかったわぁ。
「掃除までしてくれてるん?
ありがとう~
俺も、はくで?」
倉庫を覗いたら、海ちゃんが入れるついでにって、台車は外に出したまんまで箒で溜まった砂埃を出してくれてるとこやった。
鼻から下を、顔に巻いたハンカチでガードしてるから結構溜まってたみたいやわ。
「ダイジョーブ、ダイジョーブ。
どうせ、来年も生徒会で使うだろうしね。
まだ集合時間まで時間もあるからついでなんだー」
「海ちゃんと一緒にソレも入れとくよっ
台車ごと棚の下に入れるだけだしねっ」
空ちゃんは、「これもついで」って言いながら棚とか雑巾で拭いてくれてる。
えー、任せてしもてえぇんやろかぁ。
俺が迷ってたらな。
空ちゃんが、俺の手を掴んで倉庫の中に引き込んで。
両側から二人にガッチリ肩に手を回されてしもたっ
え、何、何??
「ショージキなとこね。
海ちゃん、三枝セーンパイには、兄ぃのとこに行ってほしいんだよ」
「兄ぃの機嫌が悪かったのも良くなったのも、ゼーッタイ、三枝セーンパイ絡んでるでしょ?」
「「ってことで、校舎へGO!」」
言いたいことだけ言った二人に、背中を押されて倉庫から弾かれてしまう。
待ってた子はビックリしたんやけどな。
俺もビックリ。
笹部君、妹には俺とのこともう話してくれてたりするんやろか?
なんや、照れてしまうわっ
1
お気に入りに追加
1,441
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載



【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。


欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜
白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。
しかし、1つだけ欠点がある。
彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。
俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。
彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。
どうしたら誤解は解けるんだ…?
シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。
書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる