ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
779 / 911
31 学園祭 side 渡

37

しおりを挟む
もう、そこからは、めっちゃ恥ずかしかった!
改めて凄いメンバーやなって確認したとこやのにな。
その中で歌うハメになるんやで?!
どんな罰ゲームなんっ

カラオケに行って、音痴って言われたことはないけどな。
だからって、このメンバーに混じって、こんな大勢の前で歌えるかって言うたら別やん?!

戻りたくない俺とかなちゃんを、海ちゃんと空ちゃんが楽しそうに迎えに来てな。
あんまりイヤヤッて抵抗してたら、「「センパーイ、高い高いでステージにあげちゃいますよ?」」って。
二人してステージの下に追い込まれて、海ちゃんと空ちゃんから声をシンクロして迫られてん・・・

おもーい柵を幾つも同時に運んでんの見てたしな。
海ちゃんと空ちゃんなら、それがほんまに出来るって分かってるしな。
トボトボ階段上がってステージに戻ってんけど、並ぶのも恥ずかしいから笹部君の後ろに引っ込んだわ。


「なにやってんだよ?」

「は、恥ずかしいねんもん・・・」

「さっきまで居たのにかよ?」


マイクオフの状態で、笹部君には嗤われたんやけどな。
「頼めるなら、ちょっと肩貸して欲しいんだけどな」って、疲れた声で言われたら断れへんやん?
一歩前に出たら、笹部君が肩に体重を乗せてきてん。

マスクの下の息はちょっと乱れてる。
出番が終わって時間はあったけど、疲れが取れてへんみたい。
身体が服越しに合わさってるとこから、笹部君の熱を拾ってしもてドキドキしてしまうけどそんなことしてる場合やないでっ

笹部君、一時間前は生徒会室で寝てたんやもん。
これが終わったら、笹部君は休んでてえぇように俺から頼んでみよう。


「もっと体重掛けても大丈夫やで?」

「マジか」


笹部君の重みが増して、俺は足に力を入れた。
身長差もあるし、笹部君も体重はかけにくいと思うねん。
でも、俺のこと頼ってくれてんのが嬉しいし、こんなに格好良ぇとこ見せてくれた笹部君に恩返しやないけどなんかしたいやん?

ステージの前方では、菊川君とかなちゃんが何を歌うか生徒に聞いてる。
簡単で、誰でも歌えてってなると難しいみたい。


「あんな、笹部君?」

「ん?」

「・・・めっちゃ格好良かった」


あれ、もっとこう、感動が伝わるように言いたかったのにな。
こんな近いとこで、そんな優しい目で見られたらボソボソとしか照れて言えへんかった。
顔が赤くなったん、バレバレやんっ
笹部君に「顔が赤いぜ」って嗤われる覚悟してんけどな。
笹部君は、嬉しそうにマスクで隠れてへん目を細めてくれてん。
うわぁ、あんなに格好良かった笹部君がこんなに近くで笑ってくれてるなんて。
ほんまに幸せやなぁって浸ってたらな。

なかなか決まらへんかった曲も決まったみたい。
誰かがクリスマスソングが良いって言ってな。
最後は季節外れやけど、アカペラで役員が歌って、二番からは生徒も先生も一緒にクリスマスソングを熱唱してん。

俺な、歌いながらな。
わぁ、もうそんな時期なんやなぁって。
今年のクリスマス、俺の誕生日は、笹部君と一緒にケーキ食べたいなぁって。
そんなことばっかり考えてしもてて。

ホマレンの終了宣言の拍手が遅れてしもた。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

処理中です...