776 / 911
31 学園祭 side 渡
34
しおりを挟む
興奮し過ぎて、心臓がドクドク言うてるわ。
笹部君、マスクしてくれてて良かったっっ
松野君でも、キャーキャー悲鳴が上がっててんで?
いつも怖いって思われてた笹部君が笑顔見せたら、どんなことになるかっ
そう、周りもやけど、歌だけやなくて次々アクロバットな技を決めてた姿に笑顔まで見てしもたら俺かてどうなってしまってたかっ
曲が終わって四人がステージから消えて。
もっと聴きたいし見たいって思うんやけど、このままやったら中毒になりそうやったしほっとしてるとこもあって。
それは皆も同じなんかなぁ。
音が途切れたグラウンドは、感想を言い合う声もせんくて。
ほぅ、って感嘆のため息が伝染してく。
一人一人、自分の中で今のステージを噛み締めてるようやった。
いやいや、俺以外の生徒会役員は皆格好良くて可愛くて凄いってわかってたんやけど。
こんなん見せられたら、こんな人らと一緒にいるんやなぁって怖なってくるわ。
『七つ星』の凛ちゃんらに憧れてるのとはまた違う。
直ぐ隣にこんなに気持ちが持ってかれる人がいるなんて。
わぁ、もぉ、これから皆とちゃんと話せるかなぁ。
それくらいの衝撃を受けて、脳がビリビリ痺れてた。
かなちゃんを見たら、めっちゃ赤い顔を両手で隠してた。
最後、菊川君が「いつもいっしょ」のソロパートでな。
ステージから軽々飛び降りて、かなちゃんの前まで来てな。
『ねぇ、君は俺に気付いてる?
君が居ないと、呼吸もできないこんな俺を』
って、って、ってーーーっ
蕩ける笑顔で歌うんやもんっっ
かなちゃん、菊川君に圧倒されて口をパクパクさせてたで。
はぁーって魂も抜けそうなくらいに息を吐いてたら、ざわざわって周りがしだしてな。
見上げたらステージに人影が。
いやいや、もぅこれ以上は心臓がもたへんでって思ってんけどな。
海ちゃんと空ちゃんを従えたホマレンが、無表情で後ろから歩いてきて。
冷たい眼差しで、ステージを見渡す姿を見たらもうあかんねん。
目が離せへんねんっっ
『おやおや、もう降伏か?』
両腕を組んだホマレンは、硬質な声で溜息までついた。
『あらあら、そんなことはないでしょう?
我らが副生徒会長の歌を聞かずに、この終了式は終わりませんもの』
海ちゃんが、タプタプの胸を組んだ両腕で押し上げながら冷たく笑う。
『ほらほら、なーにぐったりしてるんだよ?
手拍子っっ』
空ちゃんが、ガンッと右足でステージを力任せに打つと、皆夢から覚めたみたいにハッとして手拍子を始めた。
俺も、いつもと違って怖い三人に呑まれてな。
一緒に手拍子始めたで。
『あらあら、そんなものなのかしら?
先程までの勢いはどこに行ったの?
さぁ、もっと響かせなさいっ』
『手拍子を続けろっ』
冷たい微笑みを浮かべたまま、煽る海ちゃんと空ちゃん。
こっちに目を向けられると、ゾクゾクしてくるんやけどっっ
後ろでのんびり学園長が話してんのが信じられへんっ
「うちの誉は何しても可愛いね~」
「この甥っ子バカが」
「ゲンゾーも、誉のことでは既にバカでしょうが」
なんか、ドスドス音が聞こえてくんねんけど、何してるんやろ??
俺は、これからこの三人が何を歌うんかが気になってそれどころやないで。
笹部君、マスクしてくれてて良かったっっ
松野君でも、キャーキャー悲鳴が上がっててんで?
いつも怖いって思われてた笹部君が笑顔見せたら、どんなことになるかっ
そう、周りもやけど、歌だけやなくて次々アクロバットな技を決めてた姿に笑顔まで見てしもたら俺かてどうなってしまってたかっ
曲が終わって四人がステージから消えて。
もっと聴きたいし見たいって思うんやけど、このままやったら中毒になりそうやったしほっとしてるとこもあって。
それは皆も同じなんかなぁ。
音が途切れたグラウンドは、感想を言い合う声もせんくて。
ほぅ、って感嘆のため息が伝染してく。
一人一人、自分の中で今のステージを噛み締めてるようやった。
いやいや、俺以外の生徒会役員は皆格好良くて可愛くて凄いってわかってたんやけど。
こんなん見せられたら、こんな人らと一緒にいるんやなぁって怖なってくるわ。
『七つ星』の凛ちゃんらに憧れてるのとはまた違う。
直ぐ隣にこんなに気持ちが持ってかれる人がいるなんて。
わぁ、もぉ、これから皆とちゃんと話せるかなぁ。
それくらいの衝撃を受けて、脳がビリビリ痺れてた。
かなちゃんを見たら、めっちゃ赤い顔を両手で隠してた。
最後、菊川君が「いつもいっしょ」のソロパートでな。
ステージから軽々飛び降りて、かなちゃんの前まで来てな。
『ねぇ、君は俺に気付いてる?
君が居ないと、呼吸もできないこんな俺を』
って、って、ってーーーっ
蕩ける笑顔で歌うんやもんっっ
かなちゃん、菊川君に圧倒されて口をパクパクさせてたで。
はぁーって魂も抜けそうなくらいに息を吐いてたら、ざわざわって周りがしだしてな。
見上げたらステージに人影が。
いやいや、もぅこれ以上は心臓がもたへんでって思ってんけどな。
海ちゃんと空ちゃんを従えたホマレンが、無表情で後ろから歩いてきて。
冷たい眼差しで、ステージを見渡す姿を見たらもうあかんねん。
目が離せへんねんっっ
『おやおや、もう降伏か?』
両腕を組んだホマレンは、硬質な声で溜息までついた。
『あらあら、そんなことはないでしょう?
我らが副生徒会長の歌を聞かずに、この終了式は終わりませんもの』
海ちゃんが、タプタプの胸を組んだ両腕で押し上げながら冷たく笑う。
『ほらほら、なーにぐったりしてるんだよ?
手拍子っっ』
空ちゃんが、ガンッと右足でステージを力任せに打つと、皆夢から覚めたみたいにハッとして手拍子を始めた。
俺も、いつもと違って怖い三人に呑まれてな。
一緒に手拍子始めたで。
『あらあら、そんなものなのかしら?
先程までの勢いはどこに行ったの?
さぁ、もっと響かせなさいっ』
『手拍子を続けろっ』
冷たい微笑みを浮かべたまま、煽る海ちゃんと空ちゃん。
こっちに目を向けられると、ゾクゾクしてくるんやけどっっ
後ろでのんびり学園長が話してんのが信じられへんっ
「うちの誉は何しても可愛いね~」
「この甥っ子バカが」
「ゲンゾーも、誉のことでは既にバカでしょうが」
なんか、ドスドス音が聞こえてくんねんけど、何してるんやろ??
俺は、これからこの三人が何を歌うんかが気になってそれどころやないで。
1
お気に入りに追加
1,441
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載



【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。


欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜
白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。
しかし、1つだけ欠点がある。
彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。
俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。
彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。
どうしたら誤解は解けるんだ…?
シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。
書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる