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31 学園祭 side 渡
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『おいおい、お前ら、これが最後だってぇーのに声が全然出てねーじゃねぇか。
そんなもんか?
そんなもんか?
もっと、腹に力込めて腕突き上げろやっ』
ビートにのりながら煽る笹部君のラップ。
オラッて笹部君が腕を上げたら、見てたこっちも熱くなってきて「わぁっ」て言いながら皆と一緒に両腕を上げてた。
あ、でもかなちゃんは笹部君を平らな目で眺めててな。
田栗先生も、「いやぁ、わけぇなぁ」と頭をかいててん。
学園長はノリノリで一緒にジャンプもしたで。
ステージの上を右に左に走りながら、笹部君がコールアンドレスポンスまで始めてな。
最初は大きくてびっくりしたビート音も、気にならへんなる。
俺も飛び跳ねてたらな。
笹部君が気ぃついてくれて、俺と目を合わせながらおんなじリズムで跳ねてからのフラッシュキックまでしてくれてんっ
立ったまんまの助走無し。
身体を抱えずの後転をな。
まるで重力が無いみたいに成功させんねんもんっ
うわぁあわあああわあわぁぁあーっ
ブルブル震えてしもたっっ
だって、今の俺にしかわからへんやんっっ
俺にしかわからへんやんっっっ
「おい、三枝、興奮しすぎじゃないか?」
「そんなんしてまうよっ
かなちゃんはせぇへんの??」
両隣の柵に囲まれてるブロックの中も、振り向く時間も惜しいから見えへんけどその後ろのブロックも。
皆、みーんな、笹部君に釘付けやでっ
「まぁ、凄いなぁとは思うが・・・」
でもな、でもな。
かなちゃんが冷静なんは続かへんかってん。
ビートに乗りながら、笹部君が歌い始めて。
それがなんと、『七つ星』の中でも不動の人気を誇ってる「運命」やってんっ
これって、運命の番を探すαの気持ちをラップに乗せて歌い上げるんやけどな。
匡君が歌うと切ないラブソングに聞こえるのに、笹部君が歌うと荒々しくて心が鷲掴みにされてしまう。
まだ出会えないことへの焦燥が募る慟哭に、なんや、泣けてくる。
周りからも、音の合間に啜り泣く声も聞こえてくるし。
あぁ、もぉ、笹部君、笹部君っ
俺、ここにおるでっ
運命の番やないけど、俺は笹部君の番になりたいでっ
かなちゃんも、魅入ったように笹部君の歌に聴き惚れてたわ。
で、笹部君の背後に松野君も菊川君と竹居君が現れてな。
笹部君のラップパートが終ると、更に速くなったビートに合わせて四人でのアクロバティックなダンスがスタート。
左右に別れて、手ぇは一切つかんと足を振り上げての横回転。
中央でギリギリで交差してくとこなんて、武闘家同士で戦ってるみたいでめちゃめちゃ格好良いっ
ほんでな。
ステージに、等間隔に並んだかと思ったら曲調が混じって今度はポップで明るい「いつもいっしょ」が始まるんやもんっっ
もぉ、何、何、そのギャップッ
ズルいっ、めっちゃズルいっっ
それまで真剣な顔でな。
笑顔も見せんと、あんなに孤高で真っ直ぐで格好良くダンスしてたのに。
今度は出だしから笑顔っ
普段は、微笑むくらいの松野君までニッコリ笑ってんねんもんっ
四人でパート分けもしてて、ハーモニーのとこも完璧やでっ
歌いながらやのに、一糸乱れんシンクロダンスも披露して。
ステージの下からは拍手喝采。
かなちゃんも、手が赤くなってんのも構わずに叩いてた。
そんなもんか?
そんなもんか?
もっと、腹に力込めて腕突き上げろやっ』
ビートにのりながら煽る笹部君のラップ。
オラッて笹部君が腕を上げたら、見てたこっちも熱くなってきて「わぁっ」て言いながら皆と一緒に両腕を上げてた。
あ、でもかなちゃんは笹部君を平らな目で眺めててな。
田栗先生も、「いやぁ、わけぇなぁ」と頭をかいててん。
学園長はノリノリで一緒にジャンプもしたで。
ステージの上を右に左に走りながら、笹部君がコールアンドレスポンスまで始めてな。
最初は大きくてびっくりしたビート音も、気にならへんなる。
俺も飛び跳ねてたらな。
笹部君が気ぃついてくれて、俺と目を合わせながらおんなじリズムで跳ねてからのフラッシュキックまでしてくれてんっ
立ったまんまの助走無し。
身体を抱えずの後転をな。
まるで重力が無いみたいに成功させんねんもんっ
うわぁあわあああわあわぁぁあーっ
ブルブル震えてしもたっっ
だって、今の俺にしかわからへんやんっっ
俺にしかわからへんやんっっっ
「おい、三枝、興奮しすぎじゃないか?」
「そんなんしてまうよっ
かなちゃんはせぇへんの??」
両隣の柵に囲まれてるブロックの中も、振り向く時間も惜しいから見えへんけどその後ろのブロックも。
皆、みーんな、笹部君に釘付けやでっ
「まぁ、凄いなぁとは思うが・・・」
でもな、でもな。
かなちゃんが冷静なんは続かへんかってん。
ビートに乗りながら、笹部君が歌い始めて。
それがなんと、『七つ星』の中でも不動の人気を誇ってる「運命」やってんっ
これって、運命の番を探すαの気持ちをラップに乗せて歌い上げるんやけどな。
匡君が歌うと切ないラブソングに聞こえるのに、笹部君が歌うと荒々しくて心が鷲掴みにされてしまう。
まだ出会えないことへの焦燥が募る慟哭に、なんや、泣けてくる。
周りからも、音の合間に啜り泣く声も聞こえてくるし。
あぁ、もぉ、笹部君、笹部君っ
俺、ここにおるでっ
運命の番やないけど、俺は笹部君の番になりたいでっ
かなちゃんも、魅入ったように笹部君の歌に聴き惚れてたわ。
で、笹部君の背後に松野君も菊川君と竹居君が現れてな。
笹部君のラップパートが終ると、更に速くなったビートに合わせて四人でのアクロバティックなダンスがスタート。
左右に別れて、手ぇは一切つかんと足を振り上げての横回転。
中央でギリギリで交差してくとこなんて、武闘家同士で戦ってるみたいでめちゃめちゃ格好良いっ
ほんでな。
ステージに、等間隔に並んだかと思ったら曲調が混じって今度はポップで明るい「いつもいっしょ」が始まるんやもんっっ
もぉ、何、何、そのギャップッ
ズルいっ、めっちゃズルいっっ
それまで真剣な顔でな。
笑顔も見せんと、あんなに孤高で真っ直ぐで格好良くダンスしてたのに。
今度は出だしから笑顔っ
普段は、微笑むくらいの松野君までニッコリ笑ってんねんもんっ
四人でパート分けもしてて、ハーモニーのとこも完璧やでっ
歌いながらやのに、一糸乱れんシンクロダンスも披露して。
ステージの下からは拍手喝采。
かなちゃんも、手が赤くなってんのも構わずに叩いてた。
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