ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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31 学園祭 side 渡

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直ぐに立ち上がった竹居君が、ホマレンに来い来いって手招きしてな。
その場でヘッドセットマイクを着けて。
「良しっ、行ってこいっ」て、声が聞こえてきそうな笑顔でポンッとホマレンの背中をステージ中央に向かって両手で押した。

ホマレンは、ちょっとビックリしてたけどな。
軽く頷いて、そのままステージ中央に進んで。
目の前で、今か今かと待ちわびてる生徒に向けて会釈。
ステージの前には、うん、これ、ほぼほぼ全員いるんちゃうかな?
騒いだり、スマホ見てた生徒も口をつぐんで、黙ってホマレンの挙動に注目しはじめたわ。

ホマレンは、ニッコリと微笑み王子の名前に相応しい笑顔を浮かべてな。
終了式の始まりを穏やかに告げた。


『お集まりいただいた花達よ。
長らくお待たせいたしました。
これより、学園祭終了式を始めます』


ドカンッとなんかが天から降ってきたんやないかと心配するくらい大きな歓声と悲鳴と拍手が渦を巻いて、その熱狂にステージが震える。
俺、思わず息を止めてしもたんやけどな。
ホマレンは嬉しそうに微笑んで、優雅に一礼。
あちこちから「誉様~」「ホマレーン」ってコールまでされて、それにも手を振って応えてた。
凄い人気やなぁ。
美人さんで、性格も良くて、こんなに大人っぽいのに田栗先生の前では可愛くて。
うんうん、ファンクラブがどんどん増えてくのもわかるわっ


『えー、そろそろ発表してもいいのかなぁ』


暫く様子見てた学園長が、いつまでも終わりそうに無いしな。
苦笑いでホマレンの隣まで近付かはった。


『すみません、学園長。
それでは、今年度の学園祭クラス別人気投票の結果発表をよろしくお願いします』


ワッとこれにも歓声が上がって、ドラムロールの効果音が流れる演出に本気狙いのクラスは固唾を飲んで学園長の口元に注目。
逆に、なんも狙ってへんクラスの子らは肩の力を抜いてんのがここからやとよくわかった。

学園長は、『この辺に穴が空きそうだね』って口元をクルッと指で囲って笑いを誘う。

あぁ、俺のクラス、どうやったんかなぁ。
完売もしてたし、人はよーさん来てくれてたみたいやけど・・・
ステージのすぐ下に見える冬馬らも心配みたい。
両手を組んでお祈りポーズしてたし、俺もつられてお祈りポーズ。
どうか、どうか、ランチとクリスマスケーキが貰えますようにっっ


『まずは、私からの特別賞。
学園祭アプリを作り、全体を盛り上げてくれた一年八組』

「やったあーーっ」


ステージの上で、空ちゃんが飛び跳ねた。
マイクは入ってへんかったんやけど、近くに居たからその嬉しさ爆発の声は耳に直接響いてくる。
機材をいろってくれてた中にも同じクラスの子がいたみたいで、隣同士、頭の上に挙げた手をパンと合わせて喜んでた。
うんうん、あのアプリ、めっちゃお世話になったもんっ

金一封の中身は、食堂での放課後貸し切り一日打ち上げの権利。
学園長から、私費で飲み放題食べ放題に招待って発表されたらな。
貰えへんかったクラスの子は、羨ましさ倍増やったみたいで「「えーー!」」の大合唱やった。

うんうん、ここの食堂めっちゃ美味いしな。
しかも、イベントごとに特別メニューも考えてくれるし、絶対このクラスのための一品は出るはずやもん。
空ちゃんに、あとで写真残しといてってお願いしよっ
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