ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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31 学園祭 side 渡

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「ヤマ、閉め出すなんてどう言うつもりだ」


入ってきたかなちゃんは、お怒りモード。
でも、にゃんこやねん、にゃんこかなちゃんやねんっ
黒ブーツでイライラと床鳴らしてるけど、お尻ではゆらゆら尻尾揺れてるしな。
白い耳が、頭が動くとその上でひょこひょこ動いて見えてしまうねんっ
実際はそんな機能無いってわかってんねんけどっ

桂木君に、教えてあげたいなぁ。
可愛いしかないって、こういうことやで。
俺が見てんのも気ぃついてへんかなちゃんは、菊川君を釣り上がった目で睨みつけて「さぁ、答えろ」って詰め寄ってるでっ


「笹部が随分弱ってたから、カナには見られたくないようだったんだ。
今は、寝落ちしたけどな」


菊川君は、そんなかなちゃんを前にニコニコしながら答えてた。
可愛い、可愛いって全身で語ってるわ。

かなちゃんは、菊川君に目でソファーを示されて素直にこっちを向いて。
ソファーの笹部君が、ぐったりしてんのは寝顔からでも伝わってくるし納得したみたい。
フムッて頷いてから、ぼんやりと立ってた俺にも気ぃついて首を傾げた。


「三枝は、良かったのか?」

「みたいだ」


菊川君は、笹部君の告白を聞いてたんやろか?
俺には、全部お見通しだって言ってるように見える優しい笑顔を浮かべてくれてた。


「笹部の考えに、俺は興味が無いからな。
三枝がここに居合わせてしまったことで、笹部に何かされることが無いならそれでいい」

「無いよ、無いよ」


告白はされたけど、かなちゃんは悪い意味で心配してくれてるだけやもんな。
俺からも手を振って否定しとく。
そのとき、菊川君のスマホに着信が入ってな。
どうやら竹居君やったみたい。
チラッと笹部君を見て、「外で話してくる」って菊川君は直ぐに出ていこうとしたんやけどな。


「じゃあ、俺はその間に着替えて三枝に話を聞いておく。
笹部がコレでは、巡回は無理だろう」

「え、着替えるのか?」

「もう、宣伝する意味も無いし、わざわざこの格好をする必要は無いだろう」

「笹部は起きそうにないけど・・・」

「あ、俺、出とくで?」


菊川君に、言われる前にわかった。
そうやんな。
かなちゃんの着替えるとこ、菊川君は他の人に見られたないもんな。
朝も、かなちゃんが教室の更衣スペースで着替えてるとき、菊川君、その前で誰も近づかへんように見張ってたし。
俺、ちょっと離れたとこから「学園祭で何を食べんの?」って菊川君に話しかけてたもん。


「ヤマ、三枝だぞ?
俺と何があるって言うんだ。
ほら、着信が切れてもすぐ掛け直してくるくらいなんだから急ぎだろう」


さっきまでニコニコしてた菊川君の口元がへの字になってんで?
つれないかなちゃんに、菊川君、ショック受けてるんちゃう?
大丈夫なん??
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