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31 学園祭 side 渡
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菊川君が部屋に入って来て、笹部君となんや話し始めたんやけどな。
俺、頭がぽーっとしてしもて。
笹部君の顔ばっか見ててん。
ほんまに、ほんまに、夢やないんやな。
笹部君から、好きって。
しかも、番って。
あぁ、もぉ、会ったらどうやって誤解を解こうか悩んでたんが嘘みたいや。
わぁ、黒いマスクを着けた笹部君も格好えぇなぁ。
なんか、強そうやわ。
俺、番になったら、ずっとこんなに格好えぇ笹部君とかなちゃん達みたいに一緒におれんのかな。
はぁ、そんなんなったら心臓もつやろか。
ほわほわしとったら、笹部君の目の焦点が段々合わへんなってな。
目を閉じかけて、開いて、閉じかけて。
眠気と戦ってるみたいに顔しかめてたんやけど。
ドサッ
笹部君の身体を支えてた糸が、急に切れてしもた。
咄嗟に手を広げて受け止めたけど、力が抜け切ってるせいかめっちゃ重い。
笹部君、しんどくて熱も出てたし、き、気絶したんやろかっ
笹部君と話してた菊川君を見上げたらな。
「大丈夫だ。
疲れて寝ただけだ」
「ほんまに?」
菊川君は、慌てもせんとあっさり。
んー、言われてみたら、耳元で笹部君の口からスースー寝息が聞こえてくるし、さっきまで息すんのもしんどそうにしてたよりは落ち着いたんかな?
しっとり濡れたほっぺたが俺のこめかみにくっついてきてこそばゆいし、プールで溺れそうになってへんのに密着してると恥ずかしなってくる。
よいしょっと気合を入れて、抱えなおそうかと思ったんやけどな。
菊川君が先に笹部君の身体を支えてくれて、そのままソファーに寝かし直してくれてん。
さすが、菊川君やな。
笹部君の身体を横にすんのに持ち上げたときも、全然危なげがなかったわ。
額に汗を浮かべてこんこんと眠る黒マスク黒ツナギ姿の笹部君と、笹部君の重みなんて感じてへんみたいに涼しい顔して横抱きにした白ツナギ姿の煌めき王子菊川君。
うわぁ、眼福やわぁ。
笹部君に気をつこて、そぉーっとソファーに横たえてるとこなんてな。
αの男性同士の恋愛小説に出てきそうなシーンやでっ
めっちゃ絵になってた・・・って思ったことは秘密にしとかんと!
二人だけやなくて、かなちゃんにも怒られそうやわ。
もしかしたら、絶交されてまうかもしれへんっ
今まで、この二人でそんなん考えたことなんて無かったのに。
よっぽど、俺、浮かれてるんやろかぁ。
気ぃ抜かんでもニヤニヤしてしまう口元を両手で隠してたら、菊川君が俺をチラッと見てから扉を開けに行ってん。
ロックをかけてたみたいでな。
解錠する電子音が聞こえてきた。
俺、頭がぽーっとしてしもて。
笹部君の顔ばっか見ててん。
ほんまに、ほんまに、夢やないんやな。
笹部君から、好きって。
しかも、番って。
あぁ、もぉ、会ったらどうやって誤解を解こうか悩んでたんが嘘みたいや。
わぁ、黒いマスクを着けた笹部君も格好えぇなぁ。
なんか、強そうやわ。
俺、番になったら、ずっとこんなに格好えぇ笹部君とかなちゃん達みたいに一緒におれんのかな。
はぁ、そんなんなったら心臓もつやろか。
ほわほわしとったら、笹部君の目の焦点が段々合わへんなってな。
目を閉じかけて、開いて、閉じかけて。
眠気と戦ってるみたいに顔しかめてたんやけど。
ドサッ
笹部君の身体を支えてた糸が、急に切れてしもた。
咄嗟に手を広げて受け止めたけど、力が抜け切ってるせいかめっちゃ重い。
笹部君、しんどくて熱も出てたし、き、気絶したんやろかっ
笹部君と話してた菊川君を見上げたらな。
「大丈夫だ。
疲れて寝ただけだ」
「ほんまに?」
菊川君は、慌てもせんとあっさり。
んー、言われてみたら、耳元で笹部君の口からスースー寝息が聞こえてくるし、さっきまで息すんのもしんどそうにしてたよりは落ち着いたんかな?
しっとり濡れたほっぺたが俺のこめかみにくっついてきてこそばゆいし、プールで溺れそうになってへんのに密着してると恥ずかしなってくる。
よいしょっと気合を入れて、抱えなおそうかと思ったんやけどな。
菊川君が先に笹部君の身体を支えてくれて、そのままソファーに寝かし直してくれてん。
さすが、菊川君やな。
笹部君の身体を横にすんのに持ち上げたときも、全然危なげがなかったわ。
額に汗を浮かべてこんこんと眠る黒マスク黒ツナギ姿の笹部君と、笹部君の重みなんて感じてへんみたいに涼しい顔して横抱きにした白ツナギ姿の煌めき王子菊川君。
うわぁ、眼福やわぁ。
笹部君に気をつこて、そぉーっとソファーに横たえてるとこなんてな。
αの男性同士の恋愛小説に出てきそうなシーンやでっ
めっちゃ絵になってた・・・って思ったことは秘密にしとかんと!
二人だけやなくて、かなちゃんにも怒られそうやわ。
もしかしたら、絶交されてまうかもしれへんっ
今まで、この二人でそんなん考えたことなんて無かったのに。
よっぽど、俺、浮かれてるんやろかぁ。
気ぃ抜かんでもニヤニヤしてしまう口元を両手で隠してたら、菊川君が俺をチラッと見てから扉を開けに行ってん。
ロックをかけてたみたいでな。
解錠する電子音が聞こえてきた。
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