ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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31 学園祭 side 渡

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他でいっぱい時間を取ってしもてたから、午後公演の準備もある桂木君とはほんまにちょっとしか二年を回れへんかった。

巡回当番の後は、教室の掃除に顔出せたら出して、終了宣言の準備と出席。
最後は、生徒会で校舎とかを見回るねん。
去年は、警察に行ってたしな。
最後の見回りまでには戻ってきたんやけど、竹居君が休んどけって免除してくれた。

ずっと最後の最後まで、この格好やと目立ちそうやし。
着替えるんやったら、ここやなって。
早めに生徒会室で着替えてから巡回しようって、前々から考えててん。
朝、着替え終わったときに菊川君にそれ話したら、生徒会長と学園長しか持てへん鍵をその場で貸してくれた。

でも、桂木君と二年のとこ回ってる途中で菊川君と出会ったとき、鍵を使うから返してって言われてな。
終わったら目安箱に入れとくからって言われてん。
暗証番号は、いつも俺が目安箱を開けて入ってるもんを分ける係してるからちゃんと覚えてるし。
着替えてから、笹部君に電話してどこにいるんか聞くつもりしててんで。

それと、巡回前、最後に寄る所も決めててん。
準備もある桂木君とは分かれて、予定通り半時間前に二年四組へ向かった。
かなちゃんも、自分の担当が終わったら着替えるってキッパリ言ってたしな。
ネコ耳のかなちゃんを最後に見たかってん。
あと、もしかしたら遠くで居るなぁって確認しか出来てへんかったみこちゃんにも直接会えるかなぁって期待もあってん。


「お疲れ様っ
人、いっぱい来てくれてたん?」


もう、受付には人がおらんくて。
『完売御礼』の張り紙しか無かった。
教室に入ったら、お客さんも2組しか座ってないし、知り合いなんかな?
接客係の子が席に座ってお喋りしてたわ。


「フフフ、やっと会えたぁ」

「わぁ、みこちゃん、可愛いっ」


ちょうどみこちゃんや芝浦くんも教室に戻って来てて。
かなちゃんと柴田くんと芝浦君は、机の上を拭いたり片付けしてた。
壁際の椅子にちょこんと座ってた黒ずきんのみこちゃん、ほんまに可愛いくて、可愛いくて。
思わず走り寄って、手を握ってしもた。

黒フリルの眼帯も不自然やなくて演出みたいに溶け込んでるっ
アニメに出てくるキャラクターみたいやわ。
下げてるフードも大きな襟みたいに肩を覆ってて、みこちゃんの華奢な身体が際立ってるし耳も可愛いわぁ~
膨らんだズボンも・・・あれ?
足元、上げ底のショートブーツも靴下も脱いで、ファンシーな絆創膏だらけやんっ

みこちゃん、黒のスニーカーとかもっと楽な靴も用意されてたんやけど。
服とのバランスを考えて、これにするって頑張ってくれてたせいやな。


「みこちゃん、足、大丈夫?」

「フフフ・・・靴擦れしちゃってぇ。
僕は大丈夫なんだけどねぇ。
ここから降りちゃだめって、たぁちゃんもけぇちゃんも言うんだよぉ」

「そうなん?」


よく見たら、赤くなってる肌が全部絆創膏で隠しきれてへん。
絆創膏の色変わってるとこあるし、血も出てるんちゃうんかな。
無理したらあかんでって、言ったらな。
みこちゃん、ふんわり笑って「ありがとう」ってっっ
その可愛さに、思わず後ろ見て教室に居た梛木さんらに「見た?!」って大きな声で聞いてしもた。
もちろんって無言で親指立てて貰えてな、お客さんからもうんうん大きく頷いてた。
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