ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
743 / 911
31 学園祭 side 渡

1

しおりを挟む
「三枝、好きだ・・・俺の番になって欲しい」


ふわぁあああああーーーーーーーーー!!

笹部君、笹部君、どないしたん??どないしたん???
俺の名前、誰かと間違えてるわけやないやんな?
笹部君の手ぇも、息も、めちゃくちゃ熱いっ
握られたとこから、溶けそうや。
っていうか、近ない?近ない?
笹部くんの笑顔が眩しいっ

これだけでも心臓止まりそうやったのに。
その尖った目尻から、涙がツーッて流れて。
あの笹部君が泣いてるやんって。
俺、見たらあかんもん見てるわっ
こんな、色っぽくって見てるだけでゾクゾクする笹部君から、そんなこと言われたらっ

気持ちが先走って、気ぃついたら笹部君の手ぇを掴んでた。


「俺も、笹部君の番になりたい」


わぁ、わぁーー、わぁーーーっ
言ってしもた、言ってしもてたぁぁあああっ

この、ちょっと前な。
手ぇ掴まれて、びっくりして笹部君を見たら唇の下から牙が覗いてて。
気分が悪そうやった笹部君のこと、心配やったのにそっちに目ぇ奪われてしもて。

うわぁあ、これが笹部君の牙なん?
濡れて光ってつやつややんっ
菊川君のを見たことあったけど、あのときは緊急事態やし目のやり場に困ってたし。
こんなに近いとこから見るんは初めてやわっ

わぁ、こんなんなん?!
αの牙って、こんなに見てるだけでドキドキするもんなん?
大好きな笹部君やし、そう思うん?
こんなん、こんなん、俺の歯ぁとは、全然違う。
ハァハァ、息するたんびに肩が上下して。
笹部君はめっちゃ苦しそうやのに、牙から目が離せへん。

でもな。
無理矢理固定してた視線の先をずらして。
よぅ笹部君のこと見たら、あれあれあれって。
顔も手も、あと、はだけてたつなぎの下から見える鎖骨の下の肌も汗ばんでて。
この日まで、俺のことを見てくれへんなってた瞳も潤んで俺をまっすぐ見てくれてて。

苦しそうに息継ぎしてんのが・・・場違いやのにな?
俺、うわぁー格好えぇなぁって。
恋愛小説に出てくるαがな?
興奮してるみたいやんって、めっちゃ恥ずかしいことまで考えてしもてたんっ

あかん、あかんっ
何考えてんのって。
正気に戻らなって、意志を強く持ち直したのに。
笹部君っっ
笹部が、俺のこと好きやってっっっ
しかも、番になってやってっっっっっ

学園祭が近づいて来ても、全然笹部君と話せへんくて。
どうしたら、俺がほんまに笹部君のこと好きなんやってわかってもらえんのか考えてもな。
好きやって、言い続けることしか思い付かへんかって。

でも、またあんなふうに冷たくて怖い笹部君に、怒鳴られたら。
そう思ったら・・・気持ちが折れそうやった。

あかん、あかん。
なんでそんなに後ろ向きになってんのっ
あんなに、決めたやん。
笹部君に、俺のこと好きになってもらうんやって!

かなちゃんには、はよ自分がカッキーやって言ったほうがえぇって心配されて。
みこちゃんにも、このままやったら難しいんちゃうかなって言われてて。
おんなじ変異種Ωの遥馬さんには、気持ちは分かるよって言われたけど、その後で一緒に悩ませてしもてた。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

処理中です...