718 / 911
30 学園祭 side 陸
13
しおりを挟む
「あー、で、だ。
俺が聞きてーのは、ここまでに誰かとぶつかるくれぇ、混んでた店があったのかってことだ」
のっけからピンポイントで誰とぶつかったのか聞いてもなぁ。
かなちゃんが益々警戒して、答えるまでにアレコレこっちに質問してきそうだしな。
ジトリと俺を見てくるかなちゃんの目は、確実に俺を不審人物と特定している。
まぁ、怯えられて菊川の不興を買うよかはマシだ。
「はぁ?
なんでそんなことを気にするんだ?
お前の巡回時間はまだだぞ」
普段の俺は、それほど生徒会の仕事に熱心でもねぇし最低限のこと以上の期待もされてねぇからな。
かなちゃんは、心底不思議そう。
はぁ、この聞き方では引き出せ無かったか。
まどろっこしいことはやめて、直球しかねぇなと聞き直そうとしたんだが。
「あぁ、なるほど。
お前にも、少しは学園祭を盛り上げようという役員としての心構えが芽生えたと言うことか。
ヤマの学園祭評価は、今年で決まるからな。
必ず成功させるためにも、トラブルになりそうなところを自主的に見回るのは良いことだ」
なぜか、かなちゃんはそこからうんうんと一人で納得。
勝手に『役員として頑張る俺』という終着地点を決めつけて飛び降りていた。
まぁ、普通はな。
去年、本人がフェロモンレイプにあって病院搬送。
一応学園祭は滞り無く終わったものの、失敗はしていないが成功と呼ぶには微妙なところだった。
菊川の生徒会長としての対外評価も、微妙、つーか、保留だったしな。
菊川の名誉のためにも、今年は成功させなきゃなんねぇと群れの俺達が動こうとしてる推測は王道として成り立つ。
当の菊川は、なんにも言わずにかなちゃんをニコニコ愛でている。
かなちゃんの身体が動けば、合わせて左右に揺れる尻尾。
あとは、頭の耳付きのカチューシャが嗜好に合ったのか?
まぁ、これは菊川の通常モードだしな。
かなちゃんなら、何したってコレか。
おい、そこの色ボケリーダーは、お前のためにこの学園祭を成功させようとしているだけで、自分の評価なんか微塵も気にしてねーよ。
『菊川のために動く俺』を心の中に勝手に作り上げ、ヨシヨシと俺を見直して笑うかなちゃんにそう言ってやりてぇわ。
菊川を叱り、αとしてどう振る舞うべきか説教の一つも始まりそうでしねーけどな。
まぁ、かなちゃんはαのふりをしていただけあって、菊川のαとしての評価も気にする賢さがある。
かなちゃんを喜ばせたい菊川が、かなちゃんの望みに合わせて動くことは多い。
結果、菊川の評価は上がっている。
今までの、なんにもしねぇで寝ているだけだった菊川を動かしてんだし、その下に付いてる俺達としては、かなちゃんには感謝だ。
菊川への目に余る態度も、菊川が喜んで受け入れてるからスルーで済ませることにも慣れた。
このまま上手く菊川を本気にさせて、神輿を担ぐ俺達の気を晴れさせてくれよ。
俺が聞きてーのは、ここまでに誰かとぶつかるくれぇ、混んでた店があったのかってことだ」
のっけからピンポイントで誰とぶつかったのか聞いてもなぁ。
かなちゃんが益々警戒して、答えるまでにアレコレこっちに質問してきそうだしな。
ジトリと俺を見てくるかなちゃんの目は、確実に俺を不審人物と特定している。
まぁ、怯えられて菊川の不興を買うよかはマシだ。
「はぁ?
なんでそんなことを気にするんだ?
お前の巡回時間はまだだぞ」
普段の俺は、それほど生徒会の仕事に熱心でもねぇし最低限のこと以上の期待もされてねぇからな。
かなちゃんは、心底不思議そう。
はぁ、この聞き方では引き出せ無かったか。
まどろっこしいことはやめて、直球しかねぇなと聞き直そうとしたんだが。
「あぁ、なるほど。
お前にも、少しは学園祭を盛り上げようという役員としての心構えが芽生えたと言うことか。
ヤマの学園祭評価は、今年で決まるからな。
必ず成功させるためにも、トラブルになりそうなところを自主的に見回るのは良いことだ」
なぜか、かなちゃんはそこからうんうんと一人で納得。
勝手に『役員として頑張る俺』という終着地点を決めつけて飛び降りていた。
まぁ、普通はな。
去年、本人がフェロモンレイプにあって病院搬送。
一応学園祭は滞り無く終わったものの、失敗はしていないが成功と呼ぶには微妙なところだった。
菊川の生徒会長としての対外評価も、微妙、つーか、保留だったしな。
菊川の名誉のためにも、今年は成功させなきゃなんねぇと群れの俺達が動こうとしてる推測は王道として成り立つ。
当の菊川は、なんにも言わずにかなちゃんをニコニコ愛でている。
かなちゃんの身体が動けば、合わせて左右に揺れる尻尾。
あとは、頭の耳付きのカチューシャが嗜好に合ったのか?
まぁ、これは菊川の通常モードだしな。
かなちゃんなら、何したってコレか。
おい、そこの色ボケリーダーは、お前のためにこの学園祭を成功させようとしているだけで、自分の評価なんか微塵も気にしてねーよ。
『菊川のために動く俺』を心の中に勝手に作り上げ、ヨシヨシと俺を見直して笑うかなちゃんにそう言ってやりてぇわ。
菊川を叱り、αとしてどう振る舞うべきか説教の一つも始まりそうでしねーけどな。
まぁ、かなちゃんはαのふりをしていただけあって、菊川のαとしての評価も気にする賢さがある。
かなちゃんを喜ばせたい菊川が、かなちゃんの望みに合わせて動くことは多い。
結果、菊川の評価は上がっている。
今までの、なんにもしねぇで寝ているだけだった菊川を動かしてんだし、その下に付いてる俺達としては、かなちゃんには感謝だ。
菊川への目に余る態度も、菊川が喜んで受け入れてるからスルーで済ませることにも慣れた。
このまま上手く菊川を本気にさせて、神輿を担ぐ俺達の気を晴れさせてくれよ。
1
お気に入りに追加
1,441
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載



【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点


偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜
白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。
しかし、1つだけ欠点がある。
彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。
俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。
彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。
どうしたら誤解は解けるんだ…?
シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。
書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる