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30 学園祭 side 陸
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朝から高等部を探し回って、漸く見つけた手がかりっ
意識するより先に、匂いの元、かなちゃんの肩に鼻を近づけていた。
あぁ、クソッ
菊川のフェロモンが邪魔して、薄っすらとしかわからねぇ。
なんだよ、微量で消えかかってるじゃねぇかと悪態をつくが、見つけたことへの喜びが勝って嗤ってしまう。
そのままかなちゃんの歩いてきたルートに顔を向けるが、そこには何も残っていない。
点として、かなちゃんの身体にだけあるなんて・・・たまたまかなちゃんにぶつかったのか?
「お、おい、なんのつもりだ?!」
すぐに離れたつもりだったが、かなちゃんが眉をひそめるくらいには時間をかけていたらしい。
匂った肩を手でかばって一歩引いたかなちゃん。
気味が悪いとその顔が物語っている。
実際のところ、残り香に集中し過ぎてたからな。
匂った対象がかなちゃんという認識も無かった。
菊川の番への不用意な接近。
去年の教室のあの一件、それにこれまでのかなちゃんに対する菊川の執着ぶりが思い浮かぶ。
触ってはいないが、ただじゃ済まねぇよな。
やべぇと、菊川の反応を危惧したが・・・俺と目が合っても特にお咎めは無し。
菊川は俺をチラッとだけ見て、俺が嗅いだかなちゃんの肩を抱き寄せた。
「こらっ、笹部、聞いてるのかっ」
かなちゃんは、菊川に大丈夫だと柔らかく答えて、俺に向かってはシャーシャー威嚇してくる。
それどころじゃねぇってのっ
「かなちゃん、そんなことより・・・」
「そんなことよりって、なんだっ」
「あーもー、わかった、わかった。
なんか付いてんのかと気になったけど、何もなかったんだって」
「なんだ、それはっ
すぐにわかるような嘘をつくなっ」
ったく、面倒くせーな。
けど、かなちゃんをこれ以上怒らせるわけにもいかねぇし。
どう丸め込もうかと考えていたんだが、どこから出したのか、かなちゃんの肩に手を置いていた菊川が糸くずを持っていた。
「これが付いていたんだ」とフォローして、俺の嘘を真実にする。
これには、かなちゃんも渋々だったが納得する。
まぁ、明らかに俺の動きが怪しかったしな。
そんなわけがないと、心の中で疑られてるのは伝わって来る。
だが、菊川がかなちゃんへの接近も許して更にフォローにまで入るとか。
俺が立ち止まっただけで、直ぐに俺のΩ探しと結びつけたのか。
さすが菊川だな。
意識するより先に、匂いの元、かなちゃんの肩に鼻を近づけていた。
あぁ、クソッ
菊川のフェロモンが邪魔して、薄っすらとしかわからねぇ。
なんだよ、微量で消えかかってるじゃねぇかと悪態をつくが、見つけたことへの喜びが勝って嗤ってしまう。
そのままかなちゃんの歩いてきたルートに顔を向けるが、そこには何も残っていない。
点として、かなちゃんの身体にだけあるなんて・・・たまたまかなちゃんにぶつかったのか?
「お、おい、なんのつもりだ?!」
すぐに離れたつもりだったが、かなちゃんが眉をひそめるくらいには時間をかけていたらしい。
匂った肩を手でかばって一歩引いたかなちゃん。
気味が悪いとその顔が物語っている。
実際のところ、残り香に集中し過ぎてたからな。
匂った対象がかなちゃんという認識も無かった。
菊川の番への不用意な接近。
去年の教室のあの一件、それにこれまでのかなちゃんに対する菊川の執着ぶりが思い浮かぶ。
触ってはいないが、ただじゃ済まねぇよな。
やべぇと、菊川の反応を危惧したが・・・俺と目が合っても特にお咎めは無し。
菊川は俺をチラッとだけ見て、俺が嗅いだかなちゃんの肩を抱き寄せた。
「こらっ、笹部、聞いてるのかっ」
かなちゃんは、菊川に大丈夫だと柔らかく答えて、俺に向かってはシャーシャー威嚇してくる。
それどころじゃねぇってのっ
「かなちゃん、そんなことより・・・」
「そんなことよりって、なんだっ」
「あーもー、わかった、わかった。
なんか付いてんのかと気になったけど、何もなかったんだって」
「なんだ、それはっ
すぐにわかるような嘘をつくなっ」
ったく、面倒くせーな。
けど、かなちゃんをこれ以上怒らせるわけにもいかねぇし。
どう丸め込もうかと考えていたんだが、どこから出したのか、かなちゃんの肩に手を置いていた菊川が糸くずを持っていた。
「これが付いていたんだ」とフォローして、俺の嘘を真実にする。
これには、かなちゃんも渋々だったが納得する。
まぁ、明らかに俺の動きが怪しかったしな。
そんなわけがないと、心の中で疑られてるのは伝わって来る。
だが、菊川がかなちゃんへの接近も許して更にフォローにまで入るとか。
俺が立ち止まっただけで、直ぐに俺のΩ探しと結びつけたのか。
さすが菊川だな。
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