ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
692 / 911
29 学園祭

7

しおりを挟む
「んー、丈を長くって言われてたときはショックだったけど、これはこれでヨシだわぁ」


何故か、俺を囲むように梛木委員長達が集まってきてじっくりと・・・足を見られている。
しかも、両手を合わせて拝みだしたぞ??
え、なんで俺が拝まれているんだ???


「はぁ、もぅ、かな姫と同じクラスで幸せが過ぎて絶対今年の運を使い果たした感が断言できるレベル。
こんなにショートパンツが似合う可愛い男子高校生を神様ありがとうございます」

「あー、絶対領域、サイコーが過ぎてヤバイ、シンドイ。
狭くなった分希少価値が高まったのか、妄想領域が増えたからなのか・・・あ、違った。
かな姫が可愛いからだったわ」

「ワタルンとかな姫と同じクラスになったときから、この日が来るのを待っていました。
ここにみこたんまで加わるなんて、目が幸福で満たされ過ぎて視力上がりそう」


ワンブレスの早口ということもあるが、言葉の意味がよくわからないぞ。
俺はおかしくなっている三人から拝まれるのを避けるため、咄嗟にヤマの後ろに身を隠した。

それにしても・・・既に準備万端なスタッフエリアを背中に隠れて見渡す。
トラブル・・・俺の衣装の丈の長さについて衣装チームに変更を迫ったり、極力室温提供出来るメニューにするはずが要冷蔵ばかりになったり、一週間前の前撮りを終えた途端にこの部屋のラッピングデザインが予定を大きく外れて凝りだしたりとまぁ諸々あったわけだが・・・それらに全部対応して、よく今日に間に合わせられたな。

βの一部が盛り上がって突っ走れば、他の生徒から多少の反感を買う事態になるのではと危惧したこともあったが。
そのあたりも含め、梛木委員長はうまく進行していた。
βだからこそなのか、αのようなスタンドプレーもなく、三組に分けたそれぞれのチームプレーが光っていた。
ストーリー毎に分けて提供メニューに取り掛かったのも、競争意識を高めて結果美味しそうな内容で決定したし。

改めて梛木委員長のリーダーシップぶりを見直していたら、我に返った梛木委員長から喫茶担当時間の再確認をされた。
内容に差異がないことを確認し、了承したと頷く。

更衣スペースを含む机やダンボールで囲まれたスタッフエリアは、クラス全員がこのカフェのことを把握出来るようにとても工夫されている。
当日の段取りがしやすいように、冷蔵庫代わりに使用する持ち寄りのクーラーボックスにはどのメニューに使う食材がどの位置に入る予定なのか、イラストと写真が既に貼られている。
わざわざ中を開けて見なくても確認出来るし、材料も傷みにくくなる。
それに、包丁は調理室での使用を制限しているからな。
材料を後から補充するときの入れ間違いも防げる。
空になったクーラーボックスを固める場所まで床に色テープで区切り用意されているし。

ちなみに決定したカフェメニューは、『黒ずきんのおつかい』であるサンドイッチの盛り合わせ、『ねこのご馳走』のフルーツに命が売り歩く肉球クッキーが一枚飾られているパフェ、『アリスのお茶会』はスコーンとマフィンと生クリームで飾られたプリンの盛り合わせだ。
これにワンドリンクを付け、学園祭の平均単価300円を上回る強気な500円設定だ。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

処理中です...