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28 学園祭準備 side 陸
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田栗が、そろそろいーだろうと言い出すまで保健室に軟禁。
コーヒーを飲み干し、海と空から「「兄ぃが最近冷たいっっ」」とここぞとばかりに嘆かれ、学園祭でなにか奢ってやれと田栗にまで言われる無駄話が長かった。
開放されて生徒会室に戻ったら、開口一番、竹居からブゥブゥ文句を言われる。
「笹部、どこに寄り道してたんだよ!
待ちくたびれて、お前抜きで通し練習まで済んだぞ。
まさか、またあの女に連れ込まれたのか?」
あの女って、稲葉のことかよ?
離れて飯を食うことになってから、教室だけじゃなく昼休みまでまとわりついてきてるが。
誘われても一切相手はしてねぇ。
ムカムカして余裕がねぇときに、気ぃ使って抱くとか面倒くせぇ。
「ちげーよ」
そう否定してから、あ"ーーーっと口を押さえた。
そうだった。
かなちゃんが戻ってくる前に巡回終わらせて練習するって話だったわ。
自席に座っていた菊川に、少々草臥れてしまったファイルを渡しに行ったんだが見るからに機嫌が悪い。
基本、温厚で大抵のことは好きにさせてくれんのに、かなちゃんが絡むと性格変わるんだよな。
かなちゃんへのサプライズのための練習をサボるとか、そりゃ不機嫌にもなるか。
うわぁ、この状態で桂木とやりあったことまで言わなきゃなんねぇのかよ。
「わりぃ、菊川。
ちょっと・・・桂木と揉めてさ。
田栗に仲裁されてた」
「桂木と?」
巡回記録を確認していた菊川の顔が上がると、その眉間には皺が寄っていた。
まー、そぉなるよなぁ。
わざわざ筋道通して挨拶に来て、群れへの接触許可を菊川が出してる相手に何やってんだって話だよな。
まさか、格下の桂木が自分から俺に火種を提供するとか考えつかねぇだろうし。
あっちが俺から制裁加えられるようなルール違反を起こしたとか、思いつくならそっちになるよなぁ。
どう説明すりゃいいんだ?
三枝への俺の態度が気に食わねぇって絡まれたってのが事実だが、上位者に食って掛かるには納得できねぇ内容だろう。
同性のβのためにαが上に噛みつくなんざ、αの常識じゃありえねぇ。
俺が言い澱んでいると、俺の顔を黙って見返していた菊川は軽い溜息を一回。
内容を深堀するのは諦めてくれたらしい。
「その件は、どう処理されたんだ?」
「田栗がぼかすってさ。
多少噂は流れるかもしれねぇが、消える」
そう答えると、菊川からファイルを返却された。
「俺は、このあとクラスにカナと前撮りで呼ばれてる。
松野と竹居と通しで合わせとけよ。
時間は指定出来ないけど、一人でこっちに抜けてきたら4人で合わせるぞ」
「了解~」
追求なし、お咎めなしに安堵。
だが、菊川が出ていってからの練習でざっくりとしか覚えてなかったことを松野からちまちまこまけぇとこまで注意されるわ。
合流してきた海と空から、保健室であったことを竹居にチクられるわ。
誉からは、大変ですねとなんか知らねぇが労られるわ。
菊川が戻ってくるのが待ち遠しかったぜ。
コーヒーを飲み干し、海と空から「「兄ぃが最近冷たいっっ」」とここぞとばかりに嘆かれ、学園祭でなにか奢ってやれと田栗にまで言われる無駄話が長かった。
開放されて生徒会室に戻ったら、開口一番、竹居からブゥブゥ文句を言われる。
「笹部、どこに寄り道してたんだよ!
待ちくたびれて、お前抜きで通し練習まで済んだぞ。
まさか、またあの女に連れ込まれたのか?」
あの女って、稲葉のことかよ?
離れて飯を食うことになってから、教室だけじゃなく昼休みまでまとわりついてきてるが。
誘われても一切相手はしてねぇ。
ムカムカして余裕がねぇときに、気ぃ使って抱くとか面倒くせぇ。
「ちげーよ」
そう否定してから、あ"ーーーっと口を押さえた。
そうだった。
かなちゃんが戻ってくる前に巡回終わらせて練習するって話だったわ。
自席に座っていた菊川に、少々草臥れてしまったファイルを渡しに行ったんだが見るからに機嫌が悪い。
基本、温厚で大抵のことは好きにさせてくれんのに、かなちゃんが絡むと性格変わるんだよな。
かなちゃんへのサプライズのための練習をサボるとか、そりゃ不機嫌にもなるか。
うわぁ、この状態で桂木とやりあったことまで言わなきゃなんねぇのかよ。
「わりぃ、菊川。
ちょっと・・・桂木と揉めてさ。
田栗に仲裁されてた」
「桂木と?」
巡回記録を確認していた菊川の顔が上がると、その眉間には皺が寄っていた。
まー、そぉなるよなぁ。
わざわざ筋道通して挨拶に来て、群れへの接触許可を菊川が出してる相手に何やってんだって話だよな。
まさか、格下の桂木が自分から俺に火種を提供するとか考えつかねぇだろうし。
あっちが俺から制裁加えられるようなルール違反を起こしたとか、思いつくならそっちになるよなぁ。
どう説明すりゃいいんだ?
三枝への俺の態度が気に食わねぇって絡まれたってのが事実だが、上位者に食って掛かるには納得できねぇ内容だろう。
同性のβのためにαが上に噛みつくなんざ、αの常識じゃありえねぇ。
俺が言い澱んでいると、俺の顔を黙って見返していた菊川は軽い溜息を一回。
内容を深堀するのは諦めてくれたらしい。
「その件は、どう処理されたんだ?」
「田栗がぼかすってさ。
多少噂は流れるかもしれねぇが、消える」
そう答えると、菊川からファイルを返却された。
「俺は、このあとクラスにカナと前撮りで呼ばれてる。
松野と竹居と通しで合わせとけよ。
時間は指定出来ないけど、一人でこっちに抜けてきたら4人で合わせるぞ」
「了解~」
追求なし、お咎めなしに安堵。
だが、菊川が出ていってからの練習でざっくりとしか覚えてなかったことを松野からちまちまこまけぇとこまで注意されるわ。
合流してきた海と空から、保健室であったことを竹居にチクられるわ。
誉からは、大変ですねとなんか知らねぇが労られるわ。
菊川が戻ってくるのが待ち遠しかったぜ。
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