ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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28 学園祭準備 side 陸

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体育祭の一件以来、三枝とは距離を置いている。
会話は勿論、合同授業の体育でしか接点ももってねぇ。
そこでも、視界に入らねぇよう避けてる徹底ぶりだ。
昼休みも別で、三枝が生徒会室にいるときは俺が寄り付かねぇようにわざと時間をずらし会議にも出てねぇ。

群れのβ相手に、腹立ち紛れに力をふるえばそれこそαの恥だ。
手玉に獲られていたのは、見抜けなかったこっちにも問題はある。
寧ろ、この程度のことなら、βがやるじゃねぇかと笑ってすませるくらいの余裕をみせるαだっているだろう。

勝手に良いように解釈して、αの逆恨みでβに暴行なんてな。
一方的になんのは目に見えてる。
そんな事態になれば、群れのリーダー、菊川の資質も問われちまう。
ここは、俺が一歩引いて、怒りが解けるまで穏便にやり過ごすしかねぇだろうと譲ってやってるんだ。

翌週から、なんとか俺に取り直そうと近づいてくる三枝。
それを完全に無視していれば、多少腹立ちが収まるかと思ったが・・・未だに燻ったまま。
あんなβにここまでメンタルやられてんのかと、自分自身が情けねぇ。

菊川に申し出たとき、俺から三枝と距離を置く理由を聞かれるかと思ったが案外あっさりと受け入れられた。
この事前巡回も、三枝がかなちゃんと風紀委員会の展示協力をするからって名目をつけて、一人で担当する不自然さを消してくれてるしな。

ただし、既に決まってる当日の巡回はそのままだが。

三枝の本性が分かった今の状態で、二人で顔を突き合わせ巡回とか、出来るかよ。
並んで歩くのも御免だ。
当日適当にまけば良いかと思ったんだが、見抜かれたらしく菊川からは「役目は役目だ」と釘をさされた。

竹居には、β相手に大人気ないと笑われ。
松野には、いつもの調子で深々溜息をつかれた。
かなちゃんは、完全にあっち側。
何も知らずに、俺を睨みつけてくる。
菊川だけでも、フラットでいてくれて助かった。
居心地良かった群れを乱してる自覚はあるしな。

こっちは、群れの一員だってだけでこんなに譲歩してんのにさ。
群れの外から突付いて来られんのは・・・不愉快だ。

桂木は、漏れ出した俺のフェロモンから自ら危険領域に飛び込んだことを察し一瞬躊躇。
開いた口を止めたから、このまま引くかと思ったが・・・案外根性はあるらしい。


「なぜ、冷たくされてるんですか」


一歩踏み込んできた言葉に、考えるより先に口が開く。


「俺と三枝の問題に、わざわざお前が口を出すことじゃねぇだろうが。
だいたい、あんなβに擦り寄られホイホイ騙されてんじゃねぇよ」

「だま・・・?
あんなβと言うのは、三枝先輩のことですか?!」


跳ね上がった桂木の声が、癪に触る。
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