ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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28 学園祭準備 side 陸

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田栗と別れた後、気持ちを切り替え予定通り一年の教室に向かうことにした。
中等部からの持ち上がりが多いが、高等部から一般公開される学園祭でハメを外すヤツは毎年出てくるからな。
去年は、高等部を掌握した菊川が一年だったってのもあったし、俺らもいたし。
浮足立ってもやりすぎず、大人しかったんだが・・・

今年はどうかと考えるまでもなく、廊下に出た途端、ある教室の窓や扉に張り付いている集団が目に入り頭を掻く。
コイツら、なーにやってんだ?
外から中を伺ってんなら、このクラスの生徒ってわけじゃないんだろう。
少しでも中を見ようと、前にいる人間の頭が動けば後ろのヤツも背を伸ばして粘っている。
クソ忙しい一週間前に、他のクラスのスパイか?
自分のクラスを放って来るには、人数が多いだろう。
ざっと数えて、30人は超えてるぜ?
こんなとこに人員を裂く余裕なんかあんのか?

下手な出しもんして、主催してる生徒会、つまりは菊川の評判を下げる事態になんねぇだろうなぁ?

軽く注意することに慣れてねぇ俺は、近寄りながら溜息。
しめすぎたら、ビビって使いもんにならねぇだろうし。
とりあえず、散らすくらいでいいか?
ファイルを片手に声を掛けようとしたんだが。


「あ、あれ?
兄ぃじゃん!
なに、なに、なぁに?
ホマレンとリンリン見に来たの?」


扉の窓を独占していた野次馬の一人が、先に気付いてこっちを振り返った。
両手を広げ、周りの迷惑を微塵も気にせずブンブン振りながら大きな声を出してくる。
空かよ。
まぁ、おかげで巡回の俺が来たことは、他の生徒に知られて一斉に人だかりが散っていった。
一人取り残されてることに気付いてないわけがねーと思うんだが。


「海ちゃんばっか、ずるいんだよぉ!
ホマレンのこと、タグリンから頼まれてるのは私もなのにっ
体育祭じゃ、クラスが違ってると全然一緒にいれないしさぁ。
学園祭でも中に入れてくれないしさぁ。
あ"ーーーっ
来年は、空ちゃんも海ちゃんとホマレンとおんなじクラスになりたーいっ
ねぇ、ねぇ、兄ぃ。
生徒会特権とか無いのかな?」


欲望に任せ、言いたいことを喚いてくる。
俺が知るかよ。
面倒くさいので、デコピンで黙らせ自分のクラスへ戻れと追い立てた。
本番前に、わざわざこの人数が集まるなんて、ここで何してんだ?

ペラリとファイルを確認すると、演劇『ロミオとジュリエットがいっぱい』とある。
あー、なるほどな。
ここには、誉と現役アイドルの芝浦の妹がいたな。
オリジナル作品らしいが、あいつらをキャストにいれたら集客率は飛び抜けて高くなるだろう。
こりゃ、一年はここがイチ抜けか?
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