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27 学園祭準備

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学園主催の体育祭と違い、学園祭は生徒会が主催だ。
主催と言っても、実行を一つ義務付けられている生徒会企画以外、自分達が率先してやることより調整役が多いのは去年経験済みだ。
まぁ、その生徒会企画は、その年の生徒会の特色が一番でるからな。
生徒だけじゃなく、教師からの期待値も高い。

問題は、ヤマと俺の二人が去年あんなことになったから当日の雰囲気がわからないということだ。
本来なら、去年の樟葉先輩のように副生徒会長の俺が学園祭会議の議事進行を務めなくてはならないんだが。
今期も会計になった松野が代わりにやってくれている。
俺は、田栗、海、空の一年生役員と一緒に聞き役だ。

早速、取りかかり急務となる生徒会企画について、竹居が去年の実績報告と合わせて今回の生徒会企画の提案まで話し出した。
どうやら、去年竹居と檜山先輩が力を入れていた生徒会企画「ラブワード」は大成功だったらしい。

それは、αのヤマがΩの俺のことが好きだと公言していた世間的には非日常、高等部では日常だった状況を竹居が揶揄して企画したんだが。
野外ステージで、自分の好きな2次元や3次元への愛をマイクをわざわざ通して語り、相手にぶつけると言うバカバカしい内容だった。
もしも、あのフェロモンレイプがなければ、ヤマ自ら出場して俺に気持ちを伝えるつもりだったらしい。
その頃、ヤマのことを好きだとは全く思ってなかったからな。
伝えられても受け止められなかっただろう。

竹居の話が終わったので、ヤマに目をやると。
ヤマは、少し間を置いてから口を開いた。


「他に案がなければ、生徒会企画は竹居の案でツメも含めてお前に任せる」

「私は、さんせー!
楽しそうだし、手伝いたーい!」

「私も、手伝いたーい!」


隣同士で座っている海と空は、同時に立ち上がるとピーンと右手を伸ばした。


「来年のことを考えて、補助はもともと一年の三人から頼むつもりだったからな。
竹居、海と空でなんとかなりそうか?」

「生徒会チョーッ
なんとかなりそうとか、ひっどーぃ!」

「海ちゃんと私が組んだら、サイキョーだよ!」


ヤマは、ぶぅぶぅ不満を漏らす二人を無視して竹居に目を向けたままだ。
竹居が、「この三人ならサイキョーでしょ」と二人を宥めながらウィンクを寄越すとヤマは軽く頷いた。
まずは一つ、目処がたったことにホッとしているようだ。

ヤマの机の上には、クラスや部活動、それに私的に集まったグループが書いてきた学園祭許可申請書が既に積まれている。
この書類は、これから日を追うごとにどんどん増えていく。
教室使用以外にも、スピーチで講堂を使いたい、体育館でバンド演奏したい、中庭で屋台がやりたい・・・場所を広げれば、それだけこちらの管理の場も広がるというのに自由に書いてくるからな。
これを、効率的に仕分けるのは流石のヤマも骨を折る。

生徒会主催企画の失敗は許されないが、それにばかり構っていられない。
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