ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
646 / 911
27 学園祭準備

6

しおりを挟む
梛木委員長は人差し指を立てると、横を向いて迷い無く自分のお尻のある一点に触れた。
女子生徒のお尻なんてジロジロ見るのは失礼だし、目を逸らそうとしたんだが。


「かな姫も、渡君も、みこたんも。
自分の尾てい骨に触れて!」

「「「???」」」


真面目な顔で言われ、梛木委員長がどうやら先に見本を示してくれていることに気付く。
なんで、尾てい骨なんだ?
尾てい骨って、ここだろう?
割れ目の上の、この辺り。
俺と三枝は、すぐに。
樟葉は、見よう見まねで迷いながら。
自分のお尻に指を当てると、梛木委員長は満足げにうんうんと頷いた。


「このボタンをね。
下着のその位置につけてきて欲しいの・・・って、みこたん、上過ぎない?」

「え、あのぉ、そのぉ~
び、びていこつって、よくわからなくてぇ」

「お尻から背中に指を上げてくと、ポコッてなってるとこよ?」

「ん、ん?
こ、このへんかなぁ」


片手より両手の方がわかるかなぁと、モゾモゾと後ろに回した手で自分のお尻を撫で上げたり、指を動かす樟葉。
周りにいた女子生徒達が息を潜め、顔を赤らめ、見守る・・・なんだ、この状況は。


「芝浦が教えてやればいいだろう」


本気でわからないらしく、首を傾げている樟葉を見かね、突っ立っていた芝浦に振る。
番がいるんだ。
俺がでしゃばらなくてもいいだろう。


「え、俺?
桜宮が近いんだし、教えてやって」 


芝浦から、あっさりと任されてしまった。
まぁ、Ω同士だし、気にしないのか??
仕方ないなと、樟葉に声を掛けてから俺より小さいお尻の尾てい骨の位置に見当をつけ指を伸ばした。

ふにっ

ちょうど割れ目の間に入ったらしい。
柔らかい感触に指が僅かに埋もれる。
お、見た目より肉がついてるな。
ん?
背中に生暖かい視線を感じるんだが、気のせいか?
顔をあげると、数人の女子生徒と目が合う。
わざとらしく瞬きをしたり、ファイルに目を落としたり、なんなんだ、さっきから?


「か、かなちゃん、もしかして、僕って、その、びていこつがないのかなぁ?」


いつまでも指が動かないので、不安にさせたようだ。
「そんなことはない」と言いながら上に指を滑らせると、コツンと固い手応えがあった。


「ん?」


樟葉にもわかったらしく、位置を確認したかったのか身を捩ろうとして失敗。


「ふぇっ」

「うわぁっ」


バランスを崩した樟葉が俺に向かって倒れてきた。
衝撃に備えて受け身、とか、そんな余裕がある距離じゃ・・・ストンッ


「大丈夫か、カナ?」

「大丈夫ですか、みこ?」


咄嗟の出来事だったと思うんだが、床に崩れるより先に俺はヤマの腕に受け止められ、樟葉は柴田に支えられていた。
芝浦も動こうとしたのか、さっきの立ち位置よりこちらに近づいていた。
でも、柴田の方が早かったんだろう。
ヤマの背中越しに、空を切った手を握りしめ、他の皆が俺達に目を向けてる間に戻っていくのが見えた。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

処理中です...