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27 学園祭準備
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ソフトドッジボールの待ち時間に、折角だからたくさん話をしようと言われ。
あのチームのメンバー、つまり、学園祭クラス企画主力部隊に転じたメンバーとは大分打ち解けていた。
ヤマが邪魔だと言うわけでは無いんだが、どうしても側いるとβは近寄りづらいからな。
女子生徒の中で流行っていることや、この時期誰もが抱える進路の悩みに新しい店の情報等、たくさん話せて楽しかった。
で、その最中に。
樟葉がつけていた髪留めを、実は三人で揃えているんだとか。
俺が修学旅行のときにつけていた耳付きのカチューシャをまだ持っているとか。
梛木委員長達が、色々俺達から情報を引き出していたのは。
このためだったのか・・・
体育祭や学園祭の話になるまでは、教室の隅で固まり、おしゃべりに夢中になっている中の一人と言う認識だったんだが。
まさかの、諜報力に提案力に統率力に実行力。
うん、今後は気を付けよう。
梛木委員長が、タブレットを手にテキパキ指示している背中を追っていたら。
「はーぃ、かな姫はまっすぐに手を横に伸ばしてくださーい」
メジャーを手にした女子生徒から声をかけられ、指示通りに腕を動かす。
女子生徒は、肩先から袖口を計測し袖丈を記録係に伝えると、次は袖口、ウエストと場所を変えていく。
桜宮家では、Ωであることを隠して服を揃えるのも自宅で計測して購入していたからな。
計測されることには慣れているんだが、どうも同い年の女子となると勝手が違う。
気恥ずかしさが顔に出てしまいそうだ。
ホームルーム終了後、メインとボディーガードの六人だけ残って採寸すると言われた。
学園祭まで、二週間だからな。
一日でも惜しいのだと言われ、ヤマは隣のクラスの笹部に生徒会に少し遅れてしまうかもしれないと言いに行っている。
既に衣装がある三枝は、自分を担当する女子生徒の隣に座って興味深そうに他の計測の様子を眺めている。
三枝は器用だから、覚えれば服も作れてしまうんじゃないだろうか。
本人は、今回のメイン指名でバスケ部に生徒会にクラス企画にと、当日の自由時間が無くなるんじゃないかと心配していたが。
同じクラスのバスケ部部長から、あっさりとバスケ部免除だと言われたので腹をくくったらしい。
企画が決まると、「一等、狙うでっ」と宣言までしていた。
「渡君は、耳は無くしたって言ってたよね?
耳と尻尾だけ追加かな」
「あ、その事やねんけどな。
耳は、桂木君が学園祭で拾ってくれててん。
持ってきてくれるって言ってたし、大丈夫やで」
「オッケー、じゃ、渡君は尻尾だけと」
三枝と話していた女子生徒は、手元のファイルに書き込みフムフムと頷いていた。
あのチームのメンバー、つまり、学園祭クラス企画主力部隊に転じたメンバーとは大分打ち解けていた。
ヤマが邪魔だと言うわけでは無いんだが、どうしても側いるとβは近寄りづらいからな。
女子生徒の中で流行っていることや、この時期誰もが抱える進路の悩みに新しい店の情報等、たくさん話せて楽しかった。
で、その最中に。
樟葉がつけていた髪留めを、実は三人で揃えているんだとか。
俺が修学旅行のときにつけていた耳付きのカチューシャをまだ持っているとか。
梛木委員長達が、色々俺達から情報を引き出していたのは。
このためだったのか・・・
体育祭や学園祭の話になるまでは、教室の隅で固まり、おしゃべりに夢中になっている中の一人と言う認識だったんだが。
まさかの、諜報力に提案力に統率力に実行力。
うん、今後は気を付けよう。
梛木委員長が、タブレットを手にテキパキ指示している背中を追っていたら。
「はーぃ、かな姫はまっすぐに手を横に伸ばしてくださーい」
メジャーを手にした女子生徒から声をかけられ、指示通りに腕を動かす。
女子生徒は、肩先から袖口を計測し袖丈を記録係に伝えると、次は袖口、ウエストと場所を変えていく。
桜宮家では、Ωであることを隠して服を揃えるのも自宅で計測して購入していたからな。
計測されることには慣れているんだが、どうも同い年の女子となると勝手が違う。
気恥ずかしさが顔に出てしまいそうだ。
ホームルーム終了後、メインとボディーガードの六人だけ残って採寸すると言われた。
学園祭まで、二週間だからな。
一日でも惜しいのだと言われ、ヤマは隣のクラスの笹部に生徒会に少し遅れてしまうかもしれないと言いに行っている。
既に衣装がある三枝は、自分を担当する女子生徒の隣に座って興味深そうに他の計測の様子を眺めている。
三枝は器用だから、覚えれば服も作れてしまうんじゃないだろうか。
本人は、今回のメイン指名でバスケ部に生徒会にクラス企画にと、当日の自由時間が無くなるんじゃないかと心配していたが。
同じクラスのバスケ部部長から、あっさりとバスケ部免除だと言われたので腹をくくったらしい。
企画が決まると、「一等、狙うでっ」と宣言までしていた。
「渡君は、耳は無くしたって言ってたよね?
耳と尻尾だけ追加かな」
「あ、その事やねんけどな。
耳は、桂木君が学園祭で拾ってくれててん。
持ってきてくれるって言ってたし、大丈夫やで」
「オッケー、じゃ、渡君は尻尾だけと」
三枝と話していた女子生徒は、手元のファイルに書き込みフムフムと頷いていた。
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書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
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