ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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27 学園祭準備

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長靴を履いた猫は、白シャツに茶系のベストと上は、まぁ、普通なんだが。
下半身は、膝上黒のロングブーツにベストと同色のショートパンツというとんでもないデザイン!
まさか、こんな短い太股丸出しの格好をしろと言うのか?!

赤ずきんは、なぜか赤ではなく黒一色のレースたっぷりゴシックロリータな膝上キュロットに編み上げサンダル。
これも、大概なデザインだな。
まぁ、樟葉なら似合うし問題はないか。
灰色の耳が生えた黒い頭巾を被っている。
樟葉には必須の眼帯にまで、フリルが施されている凝りようだ。

その隣に並んだ不思議の国のアリスは、去年と同じデザインだったから他の二つに比べるとインパクトが薄く感じるぞ・・・ふわふわの白い丸尻尾は追加されていたが。

まだ、提案の段階とはいえ、これを着る可能性があるのか。
あまり、考えたくないなぁ。
絵としては受け入れられても、実際にこんなものを俺が着たらおかしいだろう。


「これを、奏に?」


前に座っていたヤマは、不機嫌そう。
しかし、梛木委員長は全く怯まない。
画面を切り替えて話を続ける。


「そうです。
なんといっても、このクラスには去年話題独占の渡君と、可愛い可愛いかな姫とみこたんもいるからそこは推していかないと!
同じデザインのものを、各チーム追加で2、3人着ることになります。
で、次のデザインはボディーガードの三人ね。
菊川君には、かな姫とペアで粉引き職人から連想してつなぎとかどうかなって。
芝浦君には、みこたんとペアで猟師から連想して銃を所持してる殺し屋、黒の背広とサングラス。
柴田君には、渡君とペアで帽子屋から連想して白のタキシードにシルクハットね」

「奏にこんな格好をさせたくない」


それに対し、ヤマはバッサリ。
梛木委員長は、「えーっ」と口を尖らせる。
まぁ、まだ決まったわけじゃないし・・・


「倭人さん、まだ提案段階なんだから最後まで話を聞いてからにしよう」


手を伸ばして、ヤマの肩に触れる。
本気で嫌らしく、振り返ったヤマの顔はしかめ面。
梛木委員長は、一旦引き下がったヤマに安堵して話を続けた。

梛木委員長がプロジェクターを交えてのプレゼンテーション終えると、全員が拍手。
ヤマでさえ、苦虫を噛み潰した顔で手を叩いていた。
学園祭主催の生徒会側にいるヤマが、代案を出してクラスの方まで流石に手を広げられないというのもあるが。
梛木委員長の企画提案には、予算案までまとめてあり、衣装製作については普段からコスプレで鍛えている生徒が中心になれば仕上げられるとその製作期間計画書までついていた。

そこまで用意周到に学園祭準備に本腰をいれて挑まれてしまうと、他の提案なんて出るわけもなく。
結果、多数決でこの『喫茶フェアリーテイル』は正式なクラス企画として通ってしまった。
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