ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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27 学園祭準備

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最後の最後で、悪目立ちしてしまったな。
学園長からは、直接公の場でお叱りを受け。
萩野からは、スマホの画面越しに「自重」の二文字を打たれ。
反省しきりの体育祭も終了したのは先週末のことだ。

全競技全勝した二年四組は、このまま学食無料とケーキ特典獲得に向けて勢いに乗るだろうなとは思っていた。
体育祭の翌週のホームルームで、来月の学園祭クラス企画について決めるのは毎年恒例だからな。
きっと、ソフトドッジボールでなにかと学園祭のことを話していた梛木委員長が動くんだろうなという予測もしていたが。


「はーい、プロジェクター調整出来たので、皆さんはタブレットを連動させてくださいねっ」


案の定、担任が生徒の自主性を重んじるため椅子に腰かけ退いた途端、進行役を引き継いだ梛木委員長は生き生きと仕切りだした。
もう一人の男子のクラス委員は、その隣で一歩下がり任せている。
きっと、これから何が始まるのか既に知らされているんだろう。
何も知らないまま座っている俺達を、ニヤニヤ笑いながら眺めている。

梛木委員長が指示を出している間に、申し合わせていたんだろうか?
ソフトドッジボールで一緒だった他の女子生徒が、ホワイトボードとプロジェクターの準備を手際よく終わらせている。
ガタガタと、他の生徒がタブレットを出している間に、教室のカーテンを閉め照明も落として準備万端だ。
あまりの手際の良さに、何が始まるんだと構えてしまう。

俺は、嫌な予感を感じながら言われた通りにタブレットを起動し連動させてみた。
画面にデカデカと写し出されたのは、見覚えのあるアリス三枝の上半身アップ。
それに比べると、寄せ集めても画面の1/10にならないような小さな文字で『二年四組 学園祭企画提案書』と右上に書かれている。
この画像の三枝は、化粧をしてない。
当日ではなく、新聞の予告記事から引っ張ってきたのか?


「え、なんで、俺なん???」


三枝の声が、まず教室に響いた。
何も聞かされていなかったらしく、廊下側の中央席でタブレットを両手持ちして目をパチクリ。
バスケ部主催のハロウィーン喫茶予告記事で、一躍有名になった三枝アリス。
しかし、当日フェロモンレイプの対応に協力してもらったからその出番は午前中の僅かな時間しかなかった。
実際に遭遇していない生徒の方が多く、この映像を見たクラスメートは「こ、これが噂の!」「ってか、本当にあれがこれか?」と、手元のタブレットと三枝を改めて見比べるのに忙しい。
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