ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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26 体育祭 side 翔

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絶対に嫌だと拒否。
なんでお前達に話さなくちゃいけないんだ!
しかも、こんな体育祭の最中に!


「「カケルンのけちぃ」」


両側から迫られ、グラグラ身体を揺すられても絶対に嫌だ!
ただでさえ、この二人が揃っているというだけでも注目されているのに、なんで公の場で語らなきゃならないんだ!
いい加減にしてほしいと、二人の手を肩から払う。
このままマウンティングされたら、逃げることも出来ないだろうしな。
早めに拘束は解いておきたかった。

海と空は、歯向かったことに気分を害した様子もなく肩を竦めて「「つれなーい」」と頬を膨らませる。


「そこは、三枝先輩の素晴らしさを喜んで語ってくれなきゃ!
どっからどー見てもβなのに、兄ぃが固執する意味がわかんないんだよねぇ」

「そぅそぅ。
ほら、からかうにしてもさ。
うちの兄ぃっておっかないから、どの辺が攻めどころなのかちゃんとわかっとかないと、地雷踏んだらまずいし」


そっくりな顔で互いに見合せ、「「ねーーっ」」と最後は揃えた。
そこまでしてからかいたいのか?

そんなこと、俺には関係ないと言うか。
三枝先輩の気持ちの先にいる笹部先輩とは、あまり関わりたくないと言うか。

笹部先輩が、もし三枝先輩を俺と同じ意味で好きになってしまったら。
いや、俺だけじゃなく、実妹のこの二人から見て既に特別扱いしてるように見えるなら、自覚された時点で三枝先輩と笹部先輩は両想い。
俺は、太刀打ち出来ないだろう。

どこが好きになるかなんて、人それぞれだから参考にはならないで押し通しているうちに、グラウンドの中央では借り物競争が始まっていた。
何度目かのスタートの後、三枝先輩が立ち上がってコースに入る。

昨日の帰り道。
三枝先輩から、この借り物競争の紙に書かれたお題がいろいろあって面白いんだと教えてもらっていた。
学園長のネクタイとか、保健室の枕とか、ピンポイントで指定されたものもあれば。
好きなもの、苦手なものといった抽象的なものや、「はな」とひらがなで書かれていて、鼻でも花でも花柄でも捉え方に自由度が高いものがあったりする。

三回までは引き直し出来るけど、「三回目で難題に当たったらなぁ。皆がゴールし終わっても、書かれたもんを探して帰るまでゴールしたらあかんしな。ぼっちの借り物競争になってまうねん」と三枝先輩は心配そうだった。
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