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26 体育祭 side 翔

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体育祭一日目。
自分が出るバスケの試合とクラスの応援の合間を縫って、漸く午後から三枝先輩の試合を見に行くことができた。
高等部の武道館に入ると、やけにコートを囲む人の多い場所があって驚く。

人気がある生徒が出ているんだろうか?
三枝先輩かな?
人混みの間から覗くと、コートの脇に三枝先輩の姿を見つけた。

コートの最前列で身を乗り出して応援している姿に、無意識に口元が緩んでしまう。
三枝先輩は、部活でもそうだけど応援にも一生懸命だ。
あそこまでは、人を掻き分けて流石に行けないな。
躊躇していたら、三枝先輩の近くにいた女子生徒と目があった。
三枝先輩に憧れる変わったαだと認識されているせいか、どうぞどうぞと三枝先輩のクラスメートから隣に座るようにスペースまで空けて手招きされる。
声援を送っていた三枝先輩も気付いて、ヒラヒラ手を振ってくれた。


「桂木君、応援に来てくれたん?」

「はい、一足遅かったですか?」


人に避けてもらいながら、三枝先輩の隣に到着。
腰を下ろしてから掛け時計を見上げたら、試合はもう後半戦に入っていた。
出番を終えてしまったんだろうか。


「ちょうど変わったとこやわ」


あぁ、間に合わなかったか・・・ガックリと肩を落とすと、三枝先輩から「そんなにガッカリせんでも」と笑って肩を叩かれる。
前もって、三枝先輩から試合時間を教えて貰っていたのに勇姿を見れないなんて。
ガッカリしますよ・・・

俺のクラスは、応援に力をいれていて、学園祭と併用するTシャツまで作っている。
赤地に白の毛筆で胸元に「団結力!」の印刷は結構目立つ。
これを着ているのに、クラスの応援より三枝先輩の応援に回る訳にもいかなかったんだ。


「うちのクラスな、三試合連続勝てそうやねん。
桂木君も一緒に応援してな」

「はい」


三枝先輩の言葉に頷いて、改めてコートを見ると・・・見たことがあるコスプレ姿に目を奪われる。
俺が、自陣の中央で立っている樟葉先輩の姿に気を取られていたら、三枝先輩は隣で「フフフ」と楽しそうに笑う。


「桂木君も、知ってるん?
めっちゃ有名なアニメの主人公にな。
みこちゃん、似てるんやって」

「妹が昔嵌まっていて、歴代のアニメを一緒に見せられました」


ハート型の眼鏡に髪型も寄せていて、しかも羽織っているジャージは二周りも大きく、小柄な身体が一層華奢に映る。
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