619 / 911
26 体育祭 side 翔
1
しおりを挟む
体育祭一日目。
自分が出るバスケの試合とクラスの応援の合間を縫って、漸く午後から三枝先輩の試合を見に行くことができた。
高等部の武道館に入ると、やけにコートを囲む人の多い場所があって驚く。
人気がある生徒が出ているんだろうか?
三枝先輩かな?
人混みの間から覗くと、コートの脇に三枝先輩の姿を見つけた。
コートの最前列で身を乗り出して応援している姿に、無意識に口元が緩んでしまう。
三枝先輩は、部活でもそうだけど応援にも一生懸命だ。
あそこまでは、人を掻き分けて流石に行けないな。
躊躇していたら、三枝先輩の近くにいた女子生徒と目があった。
三枝先輩に憧れる変わったαだと認識されているせいか、どうぞどうぞと三枝先輩のクラスメートから隣に座るようにスペースまで空けて手招きされる。
声援を送っていた三枝先輩も気付いて、ヒラヒラ手を振ってくれた。
「桂木君、応援に来てくれたん?」
「はい、一足遅かったですか?」
人に避けてもらいながら、三枝先輩の隣に到着。
腰を下ろしてから掛け時計を見上げたら、試合はもう後半戦に入っていた。
出番を終えてしまったんだろうか。
「ちょうど変わったとこやわ」
あぁ、間に合わなかったか・・・ガックリと肩を落とすと、三枝先輩から「そんなにガッカリせんでも」と笑って肩を叩かれる。
前もって、三枝先輩から試合時間を教えて貰っていたのに勇姿を見れないなんて。
ガッカリしますよ・・・
俺のクラスは、応援に力をいれていて、学園祭と併用するTシャツまで作っている。
赤地に白の毛筆で胸元に「団結力!」の印刷は結構目立つ。
これを着ているのに、クラスの応援より三枝先輩の応援に回る訳にもいかなかったんだ。
「うちのクラスな、三試合連続勝てそうやねん。
桂木君も一緒に応援してな」
「はい」
三枝先輩の言葉に頷いて、改めてコートを見ると・・・見たことがあるコスプレ姿に目を奪われる。
俺が、自陣の中央で立っている樟葉先輩の姿に気を取られていたら、三枝先輩は隣で「フフフ」と楽しそうに笑う。
「桂木君も、知ってるん?
めっちゃ有名なアニメの主人公にな。
みこちゃん、似てるんやって」
「妹が昔嵌まっていて、歴代のアニメを一緒に見せられました」
ハート型の眼鏡に髪型も寄せていて、しかも羽織っているジャージは二周りも大きく、小柄な身体が一層華奢に映る。
自分が出るバスケの試合とクラスの応援の合間を縫って、漸く午後から三枝先輩の試合を見に行くことができた。
高等部の武道館に入ると、やけにコートを囲む人の多い場所があって驚く。
人気がある生徒が出ているんだろうか?
三枝先輩かな?
人混みの間から覗くと、コートの脇に三枝先輩の姿を見つけた。
コートの最前列で身を乗り出して応援している姿に、無意識に口元が緩んでしまう。
三枝先輩は、部活でもそうだけど応援にも一生懸命だ。
あそこまでは、人を掻き分けて流石に行けないな。
躊躇していたら、三枝先輩の近くにいた女子生徒と目があった。
三枝先輩に憧れる変わったαだと認識されているせいか、どうぞどうぞと三枝先輩のクラスメートから隣に座るようにスペースまで空けて手招きされる。
声援を送っていた三枝先輩も気付いて、ヒラヒラ手を振ってくれた。
「桂木君、応援に来てくれたん?」
「はい、一足遅かったですか?」
人に避けてもらいながら、三枝先輩の隣に到着。
腰を下ろしてから掛け時計を見上げたら、試合はもう後半戦に入っていた。
出番を終えてしまったんだろうか。
「ちょうど変わったとこやわ」
あぁ、間に合わなかったか・・・ガックリと肩を落とすと、三枝先輩から「そんなにガッカリせんでも」と笑って肩を叩かれる。
前もって、三枝先輩から試合時間を教えて貰っていたのに勇姿を見れないなんて。
ガッカリしますよ・・・
俺のクラスは、応援に力をいれていて、学園祭と併用するTシャツまで作っている。
赤地に白の毛筆で胸元に「団結力!」の印刷は結構目立つ。
これを着ているのに、クラスの応援より三枝先輩の応援に回る訳にもいかなかったんだ。
「うちのクラスな、三試合連続勝てそうやねん。
桂木君も一緒に応援してな」
「はい」
三枝先輩の言葉に頷いて、改めてコートを見ると・・・見たことがあるコスプレ姿に目を奪われる。
俺が、自陣の中央で立っている樟葉先輩の姿に気を取られていたら、三枝先輩は隣で「フフフ」と楽しそうに笑う。
「桂木君も、知ってるん?
めっちゃ有名なアニメの主人公にな。
みこちゃん、似てるんやって」
「妹が昔嵌まっていて、歴代のアニメを一緒に見せられました」
ハート型の眼鏡に髪型も寄せていて、しかも羽織っているジャージは二周りも大きく、小柄な身体が一層華奢に映る。
1
お気に入りに追加
1,441
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載


【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。



欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜
白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。
しかし、1つだけ欠点がある。
彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。
俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。
彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。
どうしたら誤解は解けるんだ…?
シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。
書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる