ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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25 体育祭

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どうもその眼鏡は、変身するときに使うアイテムらしい。
俺が話についていけずにいたら、女子生徒からこちらが止めないと延々解説されそうな勢いで熱く語られた。
樟葉も知らなかったらしく、「ほぅ、ほぅ」と頷きながら聞いていた。
赤いハート型の縁にピンクのレンズ。
遠目からでも目立つ。

体育祭では、学園祭のような私服は許されないが、両祭を通じて使用するなら揃いのシャツや髪飾り等は許されている。
樟葉の眼鏡については、デザインも派手だし明らかにアウトではと思うんだが、女子生徒の一人が教師に許可を得てきた。
理由は、目の白濁を隠すため。
それなら、アイパッチに戻せと言われるんじゃないかと思ったがあっさり通ったらしい。


「よっし、出来たわよっ」

「主人公もえみちゃんの変身前の髪型~」


樟葉の両隣にいた女子生徒は、満足気に親指を立てる。
両サイドを細かく編み込まれ、前髪はヘアピンで固定されている樟葉に他の女子生徒は拍手。
サイズの合わないジャージの袖をまくった樟葉は、エヘヘと口許を両手で隠して照れ笑い。

可愛い。

三枝もつられて手を叩いたので、俺も倣った。
元々のキャラクターはわからないが、似合っているぞ。


「ここまでする意味があるのか?」

「やだなぁ、かな姫、大有りだよ!
私達の士気が上がるっ」

「みこちゃんを守って見せるわっ」

「みこちゃん、安心してねっ」

「あ、ありがとぅ。
僕も頑張るよぉ」


手と手を取り合って、大盛り上がり。
なんでも、樟葉が真似たキャラクターはドジっ子主人公で他のキャラクターがその援護しながら敵を倒すストーリーなんだとか。
小さい頃、いつかそのもえみちゃんとやらを守って地球の平和も守るんだと女の子なら誰もが夢見たそうだ。
まぁドジっ子なら、樟葉にピッタリだな。

樟葉の変身に気付いた他のクラスの女子生徒も、ザワザワとこちらを指差している。

そのまま流れで作戦会議に入り、俺は女子生徒二人と外野。
三枝と樟葉は、他の女子生徒と内野になった。
俺と三枝が主にボールを回しながら、相手のクラスを攻撃しようと言われてヨシッと気合いが入る。

試合前に10分の練習時間もあるし、そこで飛距離の調整をしよう。
三枝はバスケ部だから、ボールの扱いには慣れているからな。
後半戦が終了したので、そのままコートに入ろうとしたら三枝から申し訳なさそうに袖を引っ張られた。

・・・あぁ、笹部に声をかけるんだったな。
どうやら、話をする心の準備は十分出来たようだ。
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