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25 体育祭
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「よし、じゃあ、第二試合の後に行くか!」
善は急げだ。
今日まで聞き役に徹していたが、こんなことなら一緒について行くともっと早くに言えば良かったな。
どうすれば良いか悩んでいた三枝は、一人で何とかしたいと思っているのか、それとも俺が手を貸して良いのかどうかわからなくて言い出せなかったんだ。
三枝の役に立てることが純粋に嬉しい。
自然と笑みがこぼれる。
「えぇ?!
試合の後??」
「うん、行こうっ」と勢いよく同意されると思っていたのに、返ってきたのは裏返った声と肩に食い込む指。
うるさくて、痛いんだが・・・思わず顔をしかめる。
三枝は、何を驚いているんだ?
「あぁ、笹部に第二試合が終わるまで中等部武道館から出ていかないようには俺から言ってくるし、心配はいらないぞ」
「心配なんて、思い付きもせぇへんかった!
心の準備が出来てへんし、急すぎひん?」
「本当なら、この試合が終わった後が一番良いと思ったんだが、試合時間に間に合わないと減点されるからな。
第二試合の後では不都合なのか?
準備には十分だろう。
それに、こう言うときにまた時間をおいたら決心が鈍るかもしれないだろう」
万一、三枝が笹部を怒らせていたとしても、ヤマの群れに属している三枝を急に殴ってくることはない。
内輪での争いは、群れの統制を乱すことだからな。
準備に必要なのは、逃げていた三枝の気持ちを変えるだけ。
それはさっき出来ているんだし、他に準備なんてそもそも必要か?
不安そうな三枝の顔を覗きこむと、三枝は怯んだあとに深呼吸を一回。
「・・・か、覚悟を決めるわっ」
やけに悲壮感たっぷりな決意表明だな。
握りこぶしを固めて、三枝は俺の隣に移動してくる。
でも、やはり気持ちは追い付いていないらしく、笹部から出来るだけ見えないように俺に身を寄せて隠れたそうだ。
「そんな、大したことじゃないと思うぞ?」
「もぉーかなちゃん、他人事やと思ってぇ」
ぷぅと頬を膨らませた三枝に笑ってしまう。
うん、調子が戻ってきたな。
善は急げだ。
今日まで聞き役に徹していたが、こんなことなら一緒について行くともっと早くに言えば良かったな。
どうすれば良いか悩んでいた三枝は、一人で何とかしたいと思っているのか、それとも俺が手を貸して良いのかどうかわからなくて言い出せなかったんだ。
三枝の役に立てることが純粋に嬉しい。
自然と笑みがこぼれる。
「えぇ?!
試合の後??」
「うん、行こうっ」と勢いよく同意されると思っていたのに、返ってきたのは裏返った声と肩に食い込む指。
うるさくて、痛いんだが・・・思わず顔をしかめる。
三枝は、何を驚いているんだ?
「あぁ、笹部に第二試合が終わるまで中等部武道館から出ていかないようには俺から言ってくるし、心配はいらないぞ」
「心配なんて、思い付きもせぇへんかった!
心の準備が出来てへんし、急すぎひん?」
「本当なら、この試合が終わった後が一番良いと思ったんだが、試合時間に間に合わないと減点されるからな。
第二試合の後では不都合なのか?
準備には十分だろう。
それに、こう言うときにまた時間をおいたら決心が鈍るかもしれないだろう」
万一、三枝が笹部を怒らせていたとしても、ヤマの群れに属している三枝を急に殴ってくることはない。
内輪での争いは、群れの統制を乱すことだからな。
準備に必要なのは、逃げていた三枝の気持ちを変えるだけ。
それはさっき出来ているんだし、他に準備なんてそもそも必要か?
不安そうな三枝の顔を覗きこむと、三枝は怯んだあとに深呼吸を一回。
「・・・か、覚悟を決めるわっ」
やけに悲壮感たっぷりな決意表明だな。
握りこぶしを固めて、三枝は俺の隣に移動してくる。
でも、やはり気持ちは追い付いていないらしく、笹部から出来るだけ見えないように俺に身を寄せて隠れたそうだ。
「そんな、大したことじゃないと思うぞ?」
「もぉーかなちゃん、他人事やと思ってぇ」
ぷぅと頬を膨らませた三枝に笑ってしまう。
うん、調子が戻ってきたな。
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