ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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25 体育祭

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三枝は、もしかすると入試の段階から他の性より合格点が低いΩの特別枠だったのかもしれない。
内部進学よりも偏差値が求められる編入組のわりに、三枝の学力は並みだからな。

だが、Ωよりも扱いに困るであろう無自覚変異種Ωのクラス担任は、俺が想像するより大変なことが多いはず。
一年のときは中堅教師のαだったが、結局クラスが解体され、秋からは定年間際のαが受け持っていた。

しかし、二年のクラス担任は新人教師のβ。
副担任にベテラン再雇用の教師がついていても、なかなか思いきった人選だ。
三枝の母親、頼子さんは、なにも疑問に思わなかったらしいが・・・もう少し、息子に対して危機管理意識をもって欲しいものだ。

夏休み中に、三枝が母親と改めて挨拶に出向いたとき、担任の方からクラス担任になった理由を聞かされたらしい。
教師としての経験は無くても、幼馴染みにΩがいるので日常生活で注意すべき点がよくわかっているから。

「だから、フォローは任せて楽しく過ごせ」と三枝の不安を払拭するように笑顔で言われたそうだ。
担任は、バスケ部の顧問もしているからな。
このとき、三枝から迷惑をかけるかもしれないので辞めた方が良いか尋ねたんだが、これについてもあっさり背中を押してもらえたそうだ。 

今も、「樟葉、頑張れよー」と他のクラスなら戦力外扱いされるだけのΩにも笑いながら発破をかけている。

よく日に焼けた肌と引き締まった身体に、隅々までアイロンがけされた白いシャツとダークブラウンのパンツ。
清潔感のある服装に、精悍な顔立ち。
αのように格好が良いと、βの女子生徒からは人気が高いし。
年も近いから、βの男子生徒からは兄貴分として慕われている。

なんでも、大学では有名なバスケ選手でβだけで構成するプロバスケβリーグからも声が掛かっていたくらい将来有望。
「兎に角凄い人やのに、なんでここで先生なん?」と、4月に三枝は騒いでいたな。

逆に、αじゃないからだろう。
去年のα教師二人より、突出した優生αの特別枠なヤマに気を使うこともない。
一学期のフラットな担任とヤマのやり取りを見たからか、ヤマに緊張する生徒も徐々に減ってきている。

今回は、そのせいで俺と同じ種目に出れずヤマは凹んでいたが。
かといって、縛りを強くしてまで押し通さないところがαらしくない、ヤマらしくて良いところだと俺は思うぞ。
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