591 / 911
24 体育祭 side 陸
14
しおりを挟む
「ちぃーすっ、兄ぃ。
顔怖いよ?」
「海ちゃんと空ちゃんのお兄ちゃん、いつも怒ってるねって言われちゃってるよ?」
食堂から出た廊下で、海と空につかまる。
挟み撃ちにされ足を止めると、一歩離れた場所にいた誉と目があった。
そこに、ふわりと反射条件のように笑顔が浮かぶ。
俺には出来ねぇ芸当だな。
「こんにちは、笹部先輩」
「あぁ」
入学式から騒ぎを起こした田栗だが、親族公認で入籍前から番になっていたことも公表している。
それがなきゃ、田栗は未成年に手を出した淫行教師として今ごろ塀の中。
茅野学園も無傷ではいられねぇだろう。
田栗には、「高等部ではほどほどにしていてくれよ」と上がってから声をかけられたことがある。
波長が合うってのか?
珍しく、教師の中でコイツとは上手くやっていけるなと感じたαだ。
力はあるが、表には出さねぇ。
だが、争い事に慣れた雰囲気は隠さねぇ。
変わったαだとは思ったが、ロリコンの気もあったのか。
まぁ、ここまで育ちきっていたら中学生でも気にならねぇのか?
高校生には見えねぇ面構え。
α相手でもフラットな態度。
ここまで可愛いげがねぇのにΩとはな。
「「こらこら、兄ぃ。
ちょっとは笑顔を作りなよ!」」
コイツら、すっかり誉の護衛役が板についてんな。
誉の両脇に立ってキャンキャンうるせぇ。
やかましいとあしらい、さっさとその場から離れる。
残りの昼休みは、教室で一寝入りしようとしてんのに。
椅子に座ろうとしたら、稲葉がしつこく屋上にいこうと手を引っ張る。
何度も相手にするつもりはねぇ、たったそれだけのことがなんで理解出来ねぇんだ。
「陸ってばぁ」
「名前で呼んでんじゃねぇよ。
さっさとどっか行け」
「ひっどーぃっ」
ギュウギュウ背中に乗っかってくる胸、絡んでくる腕。
他のα女子の防波堤になるならと、放っておいたのが裏目に出始めてんな。
二年になってから、コイツしか相手をしてねぇからバランスが悪いのか?
無視して椅子に座ると目を閉じる。
目を閉じれば、どれだけ稲葉がまとわりついてきても、頭に浮かぶのは三枝のあの目だ。
三枝だけは、俺をあんな目で見てくることはねぇんだろうなと根拠もねぇのに思い込んでいた。
顔怖いよ?」
「海ちゃんと空ちゃんのお兄ちゃん、いつも怒ってるねって言われちゃってるよ?」
食堂から出た廊下で、海と空につかまる。
挟み撃ちにされ足を止めると、一歩離れた場所にいた誉と目があった。
そこに、ふわりと反射条件のように笑顔が浮かぶ。
俺には出来ねぇ芸当だな。
「こんにちは、笹部先輩」
「あぁ」
入学式から騒ぎを起こした田栗だが、親族公認で入籍前から番になっていたことも公表している。
それがなきゃ、田栗は未成年に手を出した淫行教師として今ごろ塀の中。
茅野学園も無傷ではいられねぇだろう。
田栗には、「高等部ではほどほどにしていてくれよ」と上がってから声をかけられたことがある。
波長が合うってのか?
珍しく、教師の中でコイツとは上手くやっていけるなと感じたαだ。
力はあるが、表には出さねぇ。
だが、争い事に慣れた雰囲気は隠さねぇ。
変わったαだとは思ったが、ロリコンの気もあったのか。
まぁ、ここまで育ちきっていたら中学生でも気にならねぇのか?
高校生には見えねぇ面構え。
α相手でもフラットな態度。
ここまで可愛いげがねぇのにΩとはな。
「「こらこら、兄ぃ。
ちょっとは笑顔を作りなよ!」」
コイツら、すっかり誉の護衛役が板についてんな。
誉の両脇に立ってキャンキャンうるせぇ。
やかましいとあしらい、さっさとその場から離れる。
残りの昼休みは、教室で一寝入りしようとしてんのに。
椅子に座ろうとしたら、稲葉がしつこく屋上にいこうと手を引っ張る。
何度も相手にするつもりはねぇ、たったそれだけのことがなんで理解出来ねぇんだ。
「陸ってばぁ」
「名前で呼んでんじゃねぇよ。
さっさとどっか行け」
「ひっどーぃっ」
ギュウギュウ背中に乗っかってくる胸、絡んでくる腕。
他のα女子の防波堤になるならと、放っておいたのが裏目に出始めてんな。
二年になってから、コイツしか相手をしてねぇからバランスが悪いのか?
無視して椅子に座ると目を閉じる。
目を閉じれば、どれだけ稲葉がまとわりついてきても、頭に浮かぶのは三枝のあの目だ。
三枝だけは、俺をあんな目で見てくることはねぇんだろうなと根拠もねぇのに思い込んでいた。
1
お気に入りに追加
1,440
あなたにおすすめの小説
淫愛家族
箕田 悠
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
国王の嫁って意外と面倒ですね。
榎本 ぬこ
BL
一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。
愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。
他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる