ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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24 体育祭 side 陸

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食堂で決まった席に座れば、直ぐ側に三枝がいる。
持ってきた皿を眺めてコレがおいしそうだの、今日の部活はどうだの、午前授業で宿題が出ただの止まることなくひたすら喋っていた口は今週に入って大人しい。

緊張してんのか、俺をチラチラ横目で伺いながら無言で手を合わせて食べ始める。
一口一口ゆっくりだが、味わってる風でもねぇ。
シーフードピラフが全然旨そうに見えねぇ。
笑顔でバクバク、見てるこっちが気持ちよくなる食いっぷりはどこにいったんだ?
って、くっそ、どうせこれも俺が原因だよなぁ。

俺からなんか話し掛けた方が良いのか?
明日から体育祭だな、とか?
同じソフトドッチボールだな、とか?

この俺から?

無意識に溜め息が出て、三枝がビクッと身体を強張らせた。
んなに、反応すんなよ。
こっちが驚く。

出てしまった溜め息ごと飲み込むつもりでオムレツを咀嚼。
あー、また怯えさせてしまったのかと、自分の迂闊さに後悔してるとかなちゃんが机の下で足を蹴っ飛ばしてきた。

てめぇっ

ギロッと睨んだが、かなちゃんは怯まず忌々しい仇でも見る目で睨み返してくる。
菊川の番に収まってから、かなちゃんも変わった。
ツンツンが減って素直になって、俺への当たりが更に強くなった。
コレは、確実だが納得できねぇ。
かなちゃんを箱入り息子のαだと、からかうことも無くなってんだからさ。
当たりが強くなる理由なんてねぇだろうが。
それとも、α装ってたときのことを持ち出して当たってきてんのか?

かなちゃん相手だと、菊川の番にどうこう出来ねぇし。
今のは、三枝絡みでかなちゃんが怒ってんのが十分伝わってきたからな。
Ω相手にこっちから目を逸らせることになる。
情けねぇ。

逸らした先には芝浦と樟葉と柴田。
コイツらは、食事中にそんなに喋らねぇからな。
今日も大人しい。

その前の松野は、麻野を相手にすんのに手ぇいっぱいだな。
相変わらず、俺と三枝がギクシャクしてても、αとβじゃ群れの軋轢にはならねぇだろうと放置だ。

中等部の出来事を逐一報告しようとする麻野に、ボロボロこぼすなと注意。
麻野は言われた直後は、食べることに集中してんだが、直ぐに口がムズムズしてくんだろう。
我慢がきかずに喋り出すからな。
松野も苦労するな。
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