ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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24 体育祭 side 陸

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でも、この高等部の入学式からそんなに日も明けずにさ。
ツンツン箱入りかなちゃんが、Ωだったってだけでも衝撃的なのに、菊川の番になりましたと出てきた時には驚かされたな。

菊川なら選び放題なのに、影も形もねぇ番相手に童貞貫いて生涯を捧げるとかよくわかんねぇーことしてたしな。
一人に絞るなら、せめて抱き心地が良い女にしとけよと祈ってやってたのに、灯台もと暗しのかなちゃんって。

よりによってコレかよと、つい触って確認したら菊川に本気で潰されかけてヒヤリとした。
羨ましさもあって、つい噛み跡を触ろうとした俺のミスだけどさ。
あんときは、本気の菊川には流石に勝てねぇと思いしったな。
そっから、菊川は周りがドン引きするくれぇかなちゃん一筋。
昔から夢物語を聞かされていた俺らにとっちゃ、有言実行過ぎていっそ清々しいくらいだ。

この二人を見てると、自分のΩを探し出して番にしたくなんだよな。
赦されるなら、俺だって噛みてぇしこの手に抱きたい。
一人で生きる覚悟は決めていても、見せつけられたら堪らねぇ。
自分の欲を押し付けるんじゃなく、可愛がるために抱きてぇし、俺の子どもを孕ませ自分の群れを作りてぇってな。

相手のことを考えろと、実際にαからΩになった千里さんから言われるとさ。
知ってそうで口も軽そうな親戚をつつきにも行きづれーし。
かなちゃんは、αを上手く取り繕えるのとおんなじくれぇ、Ωとして一歩引くべきとこまでわかってるし特別なんだってことは頭でわかってる。

俺がもし会いに行けば、なんの説明もなくβからΩに変わらされた男が、突然お前は俺のΩだと同性のαに迫られることになるからな。
ヤバすぎだろ。
千里さんにも想像してみろと言われたが、確かに自分がそっち側なら全力で逃げる。

菊川とかなちゃんの二人と同一線で考えられねぇことはわかってる。

まぁ、α側は、自分のΩがどんなふうに成長していても抱けるんだけどな。
変異種Ωの発情フェロモンは、相手のαのフェロモンの匂いが混じって興奮度合いが桁違いらしい。
牙を埋めると落ち着くらしいが、親父がよだれ垂らしそうな勢いで熱弁して千里さんからボコられてたしな。

万一巡りあえても、だ。
Ωとして俺の子を孕むとか、考えられないことくらいわかってるさ。

でも、もし出会えたら。

女と経験があっても、二度と女相手に勃つこともねぇくらい身体に教え込んでやるのにな。
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