ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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24 体育祭 side 陸

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「おはよう、笹部っ」


席に着くなり、馴れ馴れしく稲葉が後ろから抱き付いてくる。
わざと胸を押し付けて、頬を刷り寄せて来ようとするから頭を掴んで制した。
香水くせぇ身体を押し付けてくんじゃねーよ!


「ちょっと、乱れるじゃないのっ」

「うっせぇー」


文句を言うわりに、笑顔で周りには親密な関係をアピール。
まるで、俺が自分のものだと言わんばかりに周りに見せびらかしているのが伝わってきてめんどくせぇ。
教室にいるα女子どもと、軽いフェロモンでの応酬まで始まるから寝たふりを決め込む。

稲葉が前面に出たお陰で、俺に寄ってくるαの波は引いている。
多少のことには目を瞑るが、これ以上関係を重ねる気もない。
勝手にそっちでやっといてくれ。

コイツらは、別に俺に興味がある訳じゃねぇしな。
生徒の中で最上位の菊川が手に入らないから、その下にいる俺達に寄ってきているだけだ。
αを産んだり、産ませる可能性が高いαの女は、当たり前のように相手を選ぶ権利は自分にあると思い込んでいる。

菊川が、相手もいねーのに完全拒否を貫いていたときは、下にいる俺達が相手をしねーと気が収まらずに自分達の中で勝手に順位付けのための決闘おっ始めそうだったしな。

流石に決闘で勝ち進めば、菊川が相手をしないわけにはいかなくなる、なんて。
打算込みの計画だったようだが。
正直菊川なら、「だから?」と涼しい顔で流してただろう。
まぁ、そうなったとき。
決闘に絡んだ全員から、ヒステリックに責められるのも分かっていたしな。
竹居が早々に人数を割り振ってきた。
菊川狙いのα女子の中でも、周りを黙らせることが出来るのをピックアップして。

こういう立ち回りは、竹居が一番上手い。

まぁ、かといって、適当に相手をし過ぎてると、俺の固定の相手は自分だと名乗るヤツらが衝突し出してめんどくさかった。
俺には上手く複数のαを囲うなんて無理。
竹居のような器用さはない。

中等部では収拾がつかなくなって、岬の力を借りて事なきを得たが。
俺が反面教師になったのか。
松野は、自分には許嫁がいると公表し相手を一切しなくなった。

松野にしろ、菊川にしろ、相手を公表するのが一番賢いやり方だ。
松野は、横取りしてまで狙うαじゃねーし。
菊川は、本人がかなちゃんしか目に入ってねーからな。

そうなると、自然の流れで俺と竹居に集まってくる。
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