ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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23 新生徒会

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「樟葉先輩、お疲れのようですね。
続きは、来週まで時間はありますから持ち越しましょうか?
時折見せてくださる優しい眼差しとその微笑み、私が先輩からの引き継ぎを急いで終わらせたくない、そんな後輩の我が儘としてお聞きいれください」


田栗は身を屈め、机に突っ伏した樟葉先輩の一回り小さな手を自分の両手で労るように包み込んで顔を寄せる。
まるで演劇でも見せられているような真摯なお願いの仕草だ。

樟葉先輩は話しかけられたことで自然と顔をあげてしまい、思ったよりも近い場所にあった田栗の微笑みにゆるゆると息を吐きながら力無く頷いた。

間違いなく、この場で一番気力を消費しているのは引き継ぎ相手の樟葉先輩だな。


「あー、そうやん、そうやん。
もう、来週しか引き継ぎ期間無いし、俺、先輩にはこれまでの御礼と、他の皆にはこれからもお願いしますって気持ち込めてな。
御菓子焼いてきてん!」


三枝は、田栗の言葉でハッと我に返り、愛用のリュックサックから茶色い紙袋を取り出した。
ノートサイズより一回り大きく、片手では手に余るサイズだが、重いものではないらしい。
三枝は、そのまま力をいれる様子もなく机上に置いた。

途端。


「「わっ、それ、貰えるのっっ」」

双子は瞬時に立ち上がり、すかさず三枝の席まで移動して背後から紙袋を開けようとしていた三枝の手元を覗きこむ。
海の胸で三枝が押し潰されそうなんだが・・・


「う、う、海ちゃぁんっつ
むっ、胸当たってるからっ」

「えー、気にしなくていいよ!
それより、早く見せて、見せてっ
良い匂いするなぁって思ってたんだよねっっ」


顔を真っ赤にしてあわてふためく三枝を尻目に、海はますます体重をかけて三枝の後頭部に胸を押し付ける。
耳まで真っ赤に染まった三枝は、それどころじゃなさそうだ。

待ちきれずに海が紙袋に手を伸ばし、空も負けじと同時に手を伸ばす。
その勢いに、双子に捕まれた紙袋が引き裂かれるんじゃないかと心配になったが。
二人の手は、紙袋に触れることは出来ずに空を切った。


「お前ら、ふざけすぎだ」


向かいの席から身を乗りだして紙袋をさらった兄からの睨み。
二人は、片足を宙に浮かせた前傾姿勢のまま素直に「「ごめんなさい」」と謝った。
三枝は、二人の下で「どぃてぇ~」と呻いていた。
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