ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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23 新生徒会

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二年生の夏休みが明けると、茅野学園では直ぐに10月から交代する新生徒会に向けて生徒会長立候補届の受付が始まる。
生徒会長以外の役員は、生徒会長の指名制だ。

今年もヤマが生徒会長に立候補することは、周知の事実。
去年の実績に、αとしての資質。
毎回学年一位の頭脳に、目を引く外見。
誰も対抗馬になる生徒は出ず、あっさり無投票で続投が決まった。

俺と副生徒会長を勤めた樟葉先輩、予算配分でヤマに落とし所を助言していた会計の杉本先輩、気配り目配りで細かなフォローをしてくれていた書記の檜山先輩が抜ける代わりに指名されたのが。


「今日も引き継ぎ、よろしくお願いいたします」


微笑みの貴公子、田栗 誉。
席に座った樟葉先輩の隣に立ち、華開く微笑みを浮かべての挨拶は連日のことなんだが。
その度に、樟葉先輩の三席隣に座る三枝がキャーキャー騒ぎながらキャスター付きの椅子を回転。
その他人に向けた笑顔で喜ぶ三枝に、向かいに座る笹部とその隣の竹居は半目だ。


「めっちゃ、美人さんっっ
目の保養やぁ~」

「ありがとうございます。
三枝先輩こそ、いつも愛らしいその笑顔で私の心を照らしてくださっていますよ」


振り向き様にニッコリ微笑まれ、「ひゃあ~」と赤く染まった頬を押さえて俯く三枝。
清人さんにもキャーキャー言っていたし、三枝は面食いなのか?
いや、それだと笹部に惚れる要素が全く無くなるぞ?

同じく杉本先輩と檜山先輩の仕事を引き継ぎに来ていた二名は、愉快そうに三枝を見下ろしていたが俺の視線に気づいてニヤリ。


「「桜宮副カイチョー、目が怖ーい」」


シンクロボイスの、笹部 海と空に指摘され俺は三枝から目を逸らした。

まぁ、田栗はこの学園経営に関わる一族の出だしな。
Ωと公表して、あの見た目でヤル気の無さを存分にアピールしている無精髭の田栗養護教諭と結婚してからも人望は厚いまま。
ヤマが、田栗を副生徒会長に任命したのは納得出来る。

だが。

残り二人が、笹部の妹と言うのがなぁ。
何でこの二人なんだろう?
まぁ、発表を講堂で聞いた時の笹部の顔は見ものだったが。

信じられないと目を見張り、先に呼ばれて壇上に上がった双子から手をヒラヒラ振られ、ひきつっていたからな。
ヤマから何も知らされてなかったらしい。

三枝が、何かと笹部に話しかけていると言うのに変わらない態度の鈍感ぶりにイライラしていたからな。
壇上からその顔を眺めたとき、少しは溜飲が下がったものだ。
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