ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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21 夏休み side 倭人

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ただ、なぁ~
カナは、三枝の説得に失敗して二人のことを見守るって腹を括ったようだけどさ。
笹部は、三枝をβと思っているんだ。
同じ群れにいるから、扱いは他と比べて確かに優しい。
けど、そこに下心は全く無い。

春休みに頭を触られても、するに任せていたのは意外だったし。
Ωの樟葉、幼馴染みの松野や竹居が触れてもあんなふうになるとは思えないけど。
あれは、散々水泳の面倒をみてるときにしがみつかれて諦めたと本人も言ってたしな。

三枝が二学期からどうするつもりなのかは知らないが、そこまで番のΩとして料理の腕を磨いていてもいつ披露するんだ?

皿に残った最後の一枚に手を伸ばす。
丸くくり貫かれた中心は、青色。
ストロベリー、レモン、ときて青色??
青いフルーツって、なんだ?
ブルーベリーとかか?

首を傾げて謎の青の味を推測しながらも、頭では食べることに特別な意味を持つ二人の方に引っ張られる。
カナにとって三枝は、特別な友達なんだ。
三枝が悲しめば、カナも悲しむ。
そんな姿を俺は見たくない。

例えば、三枝がこのクッキーを笹部だけ特別扱いせずに皆で食べる分として昼休みや生徒会室に差し入れたらどうなるか。

三枝は、実は去年の夏から笹部に何かと奢って貰ってたって話も聞いたし。
変異種Ωにしてしまうことを警戒して絶対に受け取らないだろう。
披露するのは、番になってからだな。

あぁ、けど・・・

ふと、記憶が甦る。
去年の学園祭、俺がフェロモンレイプを交わしきれずにカナをいっぱい泣かせてしまったあの日の出来事。
バスケ部主催のカフェで、笹部は三枝から受け取ったチョコレートをなんの躊躇いもなくパクパク食べてたな。

あの頃は、三枝に何かをやっているところを見ていなかったし、笹部があっさり食べていたから特に気にも止めてなかったけど。
笹部のあの無意識の行動は、まさに抗えないくらいのものだったのかも・・・

だとすると、時間の問題、に、なるんだろうか?

笹部は、俺と違ってα女子の誘いも断ってないし。
話を聞いたとき、相手に対しての罪悪感と一目でも会いたいけれど成長してから近寄れば発情期を呼び寄せて変異種Ωにしてしまうジレンマは抱えていた。

んーーー
もし、三枝が自分が変えてしまったΩだとわかったとしても・・・三枝が望むような関係になるんだろうか?
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