ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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21 夏休み side 倭人

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カナに勧められ、柑橘系の中に甘さを含んだアールグレイを味わう。
赤みを帯びた琥珀色も綺麗だ。
一呼吸分香りを楽しんでから口をつける。

カナが淹れてくれた紅茶は初めて飲む。
ゆっくり味わいたい。

口に含めば、ベルガモットの香りはそれほど強くない分、ふんわりと鼻孔に甘さが伝わってくる。
うん、美味しい。


「美味しいよ、カナ」

「そうか、良かった~
ここに来る前は、淹れる練習もしていたんだが・・・久し振りだったからな」


カナは、俺の感想を待ってから自分もティーカップを持ち上げて一口。
自分の合格基準もクリアしていたようで、「よし」と小さく頷いて直ぐにソーサーに戻した。


「あと、その、クッキーも入りそうなら食べてみてくれないか?
ヤマと清人さんに作って貰ってばかりだからな。
今日は、三枝と樟葉にここに寄って貰ってクッキーを焼いてみたんだ。
二人を、ヤマに許可を得ずに離れに入れてしまって申し訳なかったんだが・・・」


αとΩの立ち位置を、必要以上に気にするカナらしい。
三枝と樟葉は、群れにいれているし。
二人がカナに何かするとは考えもしない。
「全然気にしなくていいのに」と笑うと、カナも良かったと笑ってくれた。

それよりも、カナが紅茶よりこの小皿とガラス瓶に入ったクッキーを気にしていたのはわかっていたけど。
カナ達が作ったものだったのか。
円い形のクッキーの中央は、一回り小さいハートや花の型に抜かれていて赤や緑のカラフルなガラスのように透けて見える生地で埋まっている
アイシングでもないのにこんなにカラフルなクッキーは見慣れていない。

カナに指先が溶けそうなくらい凝視されながら、一枚摘まんで口にする。
サクッとしたクッキー生地の触感に、パリンと口の中で割れて舌に触れると溶けていく。
中央のこれは・・・飴?
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