ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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21 夏休み side 倭人

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三枝と樟葉を送り出した後、カナと遥馬さんが話をしていたので俺は兄貴と片付け。
そのあと、余った時間でフェロモンコントロールの特に個体に狙いを定めるコツを庭で習った。
修学旅行中、萩野さんにヤられてかなり回復までに時間かかったしな。

磨けばかなり使える技と分かったし、基本だけ覚えれば簡単だろうと思っていたんだけど。
この日は、萩野さんのコントロールの凄さが身に染みた感じ。
広範囲にフェロモンを満たしたことはあっても、今まで広げることしかしていなかったフェロモンの先端を尖らせるのが難しい。
上手くなるには、まだまだ時間がかかることがよっくわかった。

兄貴は、対遥馬さんに近寄るα限定で実践していたからな。
対象を絞った攻撃は上手いってわかってるんだけど、あの日は姿が確認できない距離から近距離にいる俺と桜宮にそれぞれ気付かれずに威力の違う攻撃仕掛けられたからな。

・・・あの人、本当に底知れねぇ。

夕飯は、南の離れから直接屋敷に行って済ませた。
カナも遥馬さんも、全然食べてなかったけど・・・朝から作っていたパンや菓子も、残った分は三枝と樟葉が持って帰ったくらいだったのに。


「カナ、なんか持たせてもらう?」


席を立つ前にコソッと聞いてみたら、カナから「大丈夫」と断られた。
本当に大丈夫か?
カナ、普段から食が細いからなぁ。
手を繋ぎながら、半袖から伸びた腕をチラ見したんだけど。
もっと食べた方が良いと思うぞ?

東の離れに戻ると、カナは先に噴水前で待っていてくれと行っていそいそ廊下を曲がっていった。
離れていく背中も、指をほどいた躊躇いの無さも素っ気なくて寂しくなる。

やっと、二人きりになれたのに・・・

ガラス張りの温室でカナを待つ間、背もたれの深いアイアンチェアーに腰掛けて新生徒会の構想を練る。
本当は、来期の生徒会長をカナにして欲しいけど断られるだろうしなぁ。
今の高等部の雰囲気と俺の掌握状態なら、αじゃなくてもあっさり受け入れられると思うんだけどなぁ。

二年間俺が生徒会長をするより、カナがした方が学園内でΩの地位が認められてもっとカナにとって過ごしやすくなる。
職務のフォローなら、俺もいるし、カナなら問題なくこなせるし。

でも、カナは俺をまず建てて前に出たがらないだろうしなぁ。
まぁ、そのあたりは一年後に託すつもりで残りの役員候補は絞ったんだけどさ。

カナの生徒会長姿見たかったなぁ。
引き受けたからには、キリッと顔を引き締めて一生懸命生徒会を回そうと動いてくれるだろうし。
カナが認められるのは、俺も嬉しい。
カナがモテるのは、嫌だけど。
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