ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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21 夏休み side 倭人

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三枝と樟葉がここに来るのは、今日で三度目だ。
一度目は、夏休み入ってすぐ。
遥馬さんの招待を受けて南の離れに通したんだけど、樟葉が兄貴を前にバタバタ気を失うから話が進まなかった。

まるで兄貴がフェロモンで脅かしてるんじゃないかと、遥馬さんが疑ったくらいだ。
三枝は、兄貴の顔をジロジロ遠慮無しに眺めるし。
樟葉は、兄貴と目が合うとバタバタ倒れるし。
この二人を足して割ればちょうど良いくらいなんだけどなぁ。

カナでさえ、姉貴より兄貴に遠慮してるからな。
三枝が兄貴に屈託なく話し掛けるのには驚いていた。
遥馬さんが、同じ変異種Ωだってこともあって気を許してるからか?
兄貴も、珍しく相手をしていたしな。
遥馬さんの妊娠がこのときには確定していたから、機嫌が良かったのかもな。

樟葉は、去年同じクラスになった当初、俺の顔を見る度にバタバタ倒れてたけど。
最近は慣れたのか、そうでもなかったし。
まさか、兄貴にまで同じ反応をするなんて思ってなかった。

樟葉が気を失っては落ち着くまで、俺達は兄貴お手製のケーキでティータイム。
変異種Ωについて、遥馬さんから三枝にレクチャーしてもらうためだってカナから聞いていたけど、そんな話は殆ど出てこなかった。

三枝が、自分のこれからのことより、兄貴と遥馬さんの馴れ初めばっか質問してたし。
なんのために集まったのか、よくわからなかったよなぁ。

で、三枝の部活、インターハイが終わってからの二回目が先週あった。
三枝とは事前に話をしていたらしいんだけど、遥馬さんが陽太さんにも入って貰った方がいいって一人メンバー追加。
それを知らされてなかった樟葉が、俺と兄貴を前にした時よりもガチガチに緊張して・・・気を失うは、泣き出すは、拝み出すは。
で、収集がつくまでティータイム。

樟葉が、Ωの人権解放に尽力してる菊川家に感謝しすぎて緊張して気を失ってるだけだとわかってからは、遥馬さんと三枝がひたすらキャッキャッとはしゃいで話をしていた。

三度目の今日は、父さんは欠席。
少しは話が進むのか?
遥馬さんから三枝に、笹部に種明かしして番にして貰えってズバッと言って貰うのが手っ取り早いと思うんだけどなぁ。

ニコニコ笑ってる遥馬さんに、それとなく言ってみたけど。
「渡君には渡君の考えがあるからね」と、真剣な顔で諭されて終わった。
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